2019年04月11日

エフィッシモは川崎汽船をどうするのか

川崎汽船が赤字転落 投資ファンド「エフィッシモ」の打つ手はという記事を見つけました。エフィッシモは現在、川崎汽船の株式を約38%保有しています。記事では「エフィッシモ キャピタル マネージメントは保有株式の買い取りを迫るのか、それともM&Aを誘導するのか、さらに市場での売却はあるのか。」と書いています。川崎汽船に自己株取得をしてもらって買い取らせることは難しいでしょう。そんな財務体質ではありません。市場での売却も難しいでしょう。自分の売りで株価を下げることになります。M&Aを誘導するというのが最も手っ取り早いのでしょうけれども、相手が必要な話ですので、そうそう簡単には進まないでしょう。

なんだかエフィッシモには打つ手がないような気がします。川崎汽船の株主構成を見ておきましょう。

 

 

外部から見た安定株主比率ですが、法人株主14.51%、みずほ信託銀行(退職給付信託 川崎重工業口)3.61%の合計18.12%です。ただ、これまでの株主構成、上位株主の推移などから勘案すると、おそらく安定株主比率は25%程度はあると思われます。

エフィッシモの保有割合は約38%です。もしエフィッシモが会長、社長の選任議案に反対したとして、エフィッシモ単独で否決させることは可能でしょうか?2016年6月の株主総会では社長の再任議案の賛成率が57%になったことがありました。2016年3月末時点のエフィッシモも保有割合は29.71%でした。エフィッシモの保有割合が29.71%で、かつ、エフィッシモが社長選任議案に反対するよう投資家に呼び掛けたわけでもありませんでした。にもかかわらず社長の再任議案が57%だったのです。現在の保有割合は38.99%ですから、本当に今年の会長、社長選任議案は否決されるリスクが高まっていると言えます。エフィッシモは保有目的を純投資から「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」に変更しています。

エフィッシモには有効な打つ手が今のところないように見えるがゆえに、何かしらのアクションを今年の総会で起こすのではないかと考えます。

 

 

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