2020年02月25日

東芝機械と村上さんたち、それぞれの言い分

以下の記事が掲載されています。村上さんたちもツイッターで取り上げています。

「東芝機械 vs 旧村上ファンド系」TOB応酬、それぞれの言い分と株主の判断は?

詳細についてはコラムで取り上げる予定ですが、少しだけ。

東芝機械は子会社の売却などで、内部留保を抱えているのは事実。変動の大きい工作機械、射出成形機業界で一定の手元資金が必要という同社の主張も理解できる。ただ、成長への投資や事業再構築が遅れ、株価純資産倍率(PBR)が1倍を割り込むままにしていたのが、アクティビスト(もの言う株主)につけ込む隙を与えた。

これはおっしゃるとおりですよね。東芝機械の経営陣は、従業員、取引先、地域社会といったステークホルダーのために、会社のために一生懸命経営をしてきたことは事実でしょう。ただ、株主のため、という視点はちょっと欠落していたのではないでしょうか?決して、悪意があって欠落していたということではないと思います。慣れていなかったのではないでしょうか?しかしその結果、株価が割安状態になってしまい、村上さんたちのターゲットになりました。

今回の対応策が本当にいいのかどうか私にはわかりません。が、どこかでお金をかけないと企業防衛はできないと思われますし、株主利益を無視した企業防衛行動は今の世の中、取るべきではないでしょう。成功したとしても、その後、まっとうな機関投資家が株を買ってくれなくなるリスクがあります。

―買収防衛策の導入を取締役会で決議しました。

「今までの防衛策は期限が3年で対象者を特定しておらず、株主総会で承認を得た後に取締役会で相当部分を決議していた。今回の当社スキームは、株主の意思確認総会と呼ぶ臨時株主総会で決定する。対象は旧村上ファンド系だけ。ここが従来型とは決定的に違う。しかも6月の通常株主総会までだ。あくまでも強圧的な買い上げへの対応方針だ」

東芝機械の飯村会長の主張です。???従来型と同じでは???従来型と言うのは平時の事前警告型買収防衛策のことかと思われますが、対象になるのは20%以上の株式を取得しようとする買付者のみです。と言う意味では、今回の対応方針の対象も20%以上の株式を取得しようとする村上さんたちだけなので、同じではないでしょうか?

また、対抗措置発動に関する株主意思の確認方法は、従来型の事前警告型買収防衛策とまったく同じでは?事前警告型買収防衛策でも、取締役会・独立委員会の判断のほか、株主意思確認総会を開催する方法を明記している会社がほとんどではないでしょうか?

村上さんたちのみを対象としているから、株主意思確認総会で対抗措置発動を決定するから従来型と違うという主張はおかしいのではないでしょうか?それに、東芝機械にまた同じように買収提案がなされたら、突如「また特定の買付者を対象とした買収防衛策を導入します!」って導入するんですよね?従来型とやっていることはまったく同じではないでしょうか?

―事前に十分な協議がなかったと非難し合っています。
「1月10日に旧村上ファンド系から初めてTOBの話が出た。16日に20日公表、21日開始と連絡があった。この過程で企業価値や株主を守るのに他の選択肢はない。強圧的な買い上げに対しても、何も手を打たなければ善管注意義務違反になりうる。本来まずしっかりとした意見表明があり、話す期間があるはずだ」

ようは村上さんたちの提案は強圧的だと主張しているんですよね?でも、平時の事前警告型買収防衛策を自ら廃止した以上、金商法で認められた質問権などを行使することで株主のために情報を収集するものの、やはり強圧的かどうかを含めて、株主に判断をゆだねるということではないでしょうか?自ら廃止した以上、です。

あと「善管注意義務違反」という考え方ですが、本当にそうなんでしょうか?廃止した買収防衛策を実質的に突如復活させ、対抗措置発動を株主に確認しなくてはならないほど、村上さんたちのTOBは強圧的なんでしょうか?意見表明での対応以上のことをしないと、善管注意義務違反になるようなことなんでしょうか?ちょっとわからないんですよねえ。

―企業と株主の関係をどう思いますか。
「世の中は短期主義から変化している。08年以前とは変わった。スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードを車の両輪とするのを読むと、企業には中長期的な成長を目指し、投資家側にも中長期の健全な投資をするように言っている。本来ならその中のエンゲージメントは一致するはず。今回はどちらが逸脱するかという話になる。村上世彰氏の経歴からは非常に明確だが、資本主義の中でそれが正しいと言うのなら、汗水垂らしてモノを作っている人のことを考えると全く納得できない」

そもそも株式市場は短期主義ですよ。投資家ってのは合理的な生き物です。短期で大儲けできるのならそっちを選びます。「我々は中長期的な投資をしています!」ってのは自分たちの出資者への言い訳ですよ。誰もが短期で大儲けしたいと思っています。そしてそれは悪いことではありません。もちろん、短期で自らが儲けるためだけに、会社を食い物にするようなことをしてはいけません。

あとですね、、、投資家も汗水たらして仕事をしています。脳みそに汗かいて仕事しています。命の次?に大事なお金を張っているんです。肉体に汗かいて仕事している人の方が偉いんだという主張であれば、それは投資家に対して失礼です、職業に貴賤はありません。

以下、シティインデックス11の福島社長のインタビューです。

―中計をどう受け止めますか。
「ROE、営業利益の目標は評価できる。一方、過去5年間の中計はすべて未達だ。新中計以前の計画は去年5月に出したばかりだ。本当にできるのか」

まあ、これまで未達ってのは痛いですね。反論できませんから。これ、本当に皆さんにとって参考になります。ちゃんと平時から、中計を達成している会社だとアピールしておくことは重要です。結局、TOBに応じるかどうかはTOB価格次第ではあるものの、平時からちゃんと株主、投資家の信頼を得ている経営者であれば、ちゃんと反論内容を株主、投資家は聞いてくれるでしょう。場合によっては株価に反映されるかもしれません。平時のIRもちゃんと戦略を練ったうえで実行していく必要があります。これまでのIR戦略を見直すべき時期に来ていると言えます。

―東芝機械はオフィスサポートの事業主体が非居住者の村上氏と認識し、外為法上の潜脱行為ではと指摘しています。
「公表したオフィスサポートのバランスシートを見てほしい。総資産535億円、自己資本が534億円、短期長期借り入れはゼロ、未払い金が3400万円。自分の資産以外の何ものでもなく、不透明性はない。心象だけで潜脱行為だと言っていいはずがない」

これ、どういう意味なんでしたっけ?村上さんから借入などもなく、村上さんから独立しているという主張?出資関係はどうなっているんでしたっけ?外為法違反かどうかはわかりませんが、さすがに村上さんの影響力が皆無というのは難しそうな気が・・・。「ガイアの夜明け」で散々特集されましたし。登場したのはほとんど村上さんじゃないですか?福島さん、登場していましたっけ?

―国は、取締役会での買収防衛策発動を状況により否定していません。
「例えば、政策保有株式は違法ではないが、コーポレートガバナンス・コードでは縮減の方向だ。違法合法の議論ではなく買収防衛策はやめよう。コンプライアンスも最初は法令順守だった。つまり正しくだけで当時は良かったが、今は清く美しくも求められている。それと同じだ」

そもそも政策保有株式、つまり持ち合いですが、買収防衛のためにやっている会社は現在ではほとんどないと言っていいでしょう。持ち合いで過半数の安定株主を確保している会社は少ないです。時価総額が1兆円を超える会社に至っては、安定株主比率など10~20%程度ではないでしょうか?(経験に基づくカンです) 買収防衛策をやめようと言っているのは投資家だけです。そもそも買収防衛策なんて導入していません。

「清く美しくも求められている」 そりゃ投資家だって同じですよ(笑) 清く美しく投資してもらいたい、と上場会社は思っているでしょうね。

コラムで書くことなくなっちゃいました・・・。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからニュースを探す

月別アーカイブ