2020年03月04日

TOB断固阻止へ執念の前田道路???

日経ビジネスにTOB断固阻止へ執念の前田道路 業界最大手と提携協議開始を発表という記事がありました。

道路や橋などのインフラに投資し、運営や保守で稼ぐコンセッション事業を育成する前田建設が、連携強化で効率向上を図るとして、現在24%強を出資する前田道路を取り込もうと1月にTOBを開始。表面化した対立は先鋭化している。「前田建設さんには、一歩踏みとどまって考えていただきたい」。会見では前田道路の今枝社長がこのように訴える場面もあった。徹底抗戦の構えを崩さない相手に前田建設はどのように対峙するのだろうか。

前田道路は特別配当を実施した理由として「前田建設さんには、一歩踏みとどまって考えていただきたい」といったことなどを挙げています。でもこれじゃあ一歩踏みとどまらんでしょう。TOB阻止に執念を燃やすのであれば、特別配当ではなくパックマンディフェンスをうまく活用し、一般株主に迷惑をかけないようなディフェンスプランを実行すべきだったと思われます。

No.775 前田道路はパックマンを「主軸」にして対応すればよかったと思います

どうして前田道路は特別配当の実施を公表すれば、前田建設工業が一歩踏みとどまるかもしれないと淡い期待を持ったのでしょうか?前田建設工業が「まさか前田道路がそんな奇策をやってくるなんて!想像もしていなかったぜ!」と驚くと思ったのでしょうか?いや、前田建設工業は驚いていないし、想定の範囲内でしょう。だって公開買付届出書に以下のとおり書いてあるじゃないですか!

(2)【公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法】

 令第14条第1項第1号イ乃至リ及びヲ乃至ソ、第3号イ乃至チ及びヌ、並びに同条第2項第3号乃至第6号に定める事情のいずれかが発生した場合は、本公開買付けの撤回等を行うことがあります。なお、①対象者の取締役会が、本公開買付けに係る決済の開始日前を基準日とする剰余金の配当(株主に交付される金銭その他の財産の額が、対象者の最近事業年度の末日における貸借対照表上の純資産の帳簿価額の10%に相当する額(20,325,900,000円(注))未満であると見込まれるものを除きます。)を行う旨の議案を対象者の株主総会に付議することを決定した場合(具体的な剰余金の配当の額を示さずに、本公開買付けに係る決済の開始日前を剰余金の配当の基準日とする旨を決定した場合を含みます。)、及び②対象者の取締役会が、自己株式の取得(株式を取得するのと引換えに交付する金銭その他の財産の額が、対象者の最近事業年度の末日における貸借対照表上の純資産の帳簿価額の10%に相当する額(20,325,900,000円)未満であると見込まれるものを除きます。)を行うことについての決定をした場合にも、令第14条第1項第1号ツに定める「イからソまでに掲げる事項に準ずる事項」に該当する場合として、本公開買付けの撤回等を行うことがあります。

純資産の帳簿価額の10%に相当する額の剰余金の配当を行う場合は、TOBを撤回することがありますよ、と後悔買付届出書に書いてあります。当然、前田建設工業は前田道路が大規模特別配当を実施する可能性を想定していたでしょうし、大規模特別配当を実施してきた場合の対応策も検討していたことでしょう。これ、基本中の基本です。このような想定と対策の準備をしておくことは、敵対的TOBを実施するにあたって当たり前のことです。

???まさか想定、検討していないってことはないでしょうね???

最近の敵対的TOBでは、飛んでもないことがたまに起きますからねえ・・・。ニューフレアテクノロジーとかニューフレアテクノロジーとかニューフレアテクノロジーとか・・・。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからニュースを探す

月別アーカイブ