2020年09月10日

日経ビジネスさんはおもろい表現をしますね

以下、日経ビジネスに掲載された記事です。

大戸屋、コロワイドに敗北 戦いの場は「キッチン」ではなかった

外食大手のコロワイドは9日、定食チェーンの大戸屋ホールディングス(HD)への敵対的TOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。コロワイドの持ち株比率(議決権ベース)はこれまでの19.16%から46.77%に高まり、子会社化がほぼ確定したと言える。大戸屋HDはコロワイド傘下になると「店内調理やおいしさが維持できなくなる」と訴え抵抗してきたが、株主を引き留めることはできなかった。今回のTOBの戦いの場は株式市場、つまり「マーケット」であって「キッチン」ではなかったのが敗因だろう。

今回の敗因はたしかにそうなのですが、もっと言うと、大戸屋が今回負けたのは主戦場をマーケットではなくキッチンにしたから、というわけではなく、事前にコロワイドに20%近い株式を創業家から取られてしまったことにあるのです。現に今回のコロワイドの敵対的TOBによって46.77%を所有することになった訳ですが、事前に約20%の株式を創業家から買ったことを考慮すると、TOBで集めたのは約26%ということです。

大半の株主は敵対的TOBには応募しなかったということです。私は以前「敵対的TOBで過半数を取るのは非常に難しい」と指摘しましたが、敵対的TOBで過半数をとったケースはあまりないはずです。前田建設は前田道路株の過半数とりましたが、事前に約24%の株式を所有していました。コクヨはぺんてるに敵対的買収をしかけるも、過半数は取れませんでした。佐々木ベジさんもソレキアに敵対的TOBを仕掛けましたが、TOBでは過半数を取っていません。

今回の勝因は、コロワイドが事前に創業家から株式を約20%取得したうえで敵対的TOBに踏み切ったという点です。これまでも対象会社の承諾なしに20%程度の株式を取得し、協業や経営統合を打診したケースはよくありましたが、あまりうまくいっていません。

コロワイドのアプローチがうまくいったのは、コロワイドがきちんと「最終的には敵対的TOBを仕掛けてでも買収する」と腹をくくっていたからでしょう。見事だと思います。

今後、コロワイドのように腹をくくって敵対的TOBに踏み切る会社も増えてくる可能性があります。

 

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