2022年12月08日

じゃあ村上さんはジャフコの株をこれから買い増すのか?売るのか?

どっちもやりにくいでしょうね。

まず「買い増すかどうか」ですが、ジャフコは有事型買収防衛策を取締役会決議で8月15日に導入しています。以下のとおりです。20%以上の株を買うときはルールに従ってね、という内容です。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8595/tdnet/2174167/00.pdf

ルールに従わずに20%以上の株式を買ったら、ジャフコは対抗措置(新株予約権の無償割当)を発動します。もちろん村上さんが「こんなルールに従う必要などないわ!裁判じゃい!」と裁判で戦う可能性はありますが、負けるリスクがあります。そして訴訟費用もかかります。かつて東芝機械(現芝浦機械)が有事型買収防衛策で対抗した際、村上さんは裁判で争いませんでした。

もちろんルールに従って情報提供などをした上で、ジャフコの許可を取って買い増す可能性はありますが、ジャフコが以下のように言っている以上、許可するとは思えません。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8595/tdnet/2210540/00.pdf

特に当社の投資は、経営権を取得するバイアウト投資はもとより、ベンチャーキャピタル投資についても、厳選集中投資を行い、リードVCとして経営に深く関与する方針としております。ファンドの運営体制が維持されることは、投資家が出資を判断する際に重要なポイントです。村上氏らの影響下にあるシティらが、大量保有報告書を提出し、シティらによる当社株式取得の事実が明らかになった直後から現在まで、既存出資者を含む当社ファンドへの出資を検討している投資家の方から、シティらが当社株式取得が進めていることによる当社のファンド運用に及ぼす影響を懸念して、その動向を見極めるべく新規ファンドへの出資の判断を保留する投資家の方も出ていることが、今回の決定の背景となります。

ただし「支配権を取る水準までは買い増さない。25%まで買い増しさせてくれ」という条件を村上さんが提示する可能性はあります。かつてMCJという会社に対して、そのような条件をつけて買い増ししようとしたことがあります。

しかし、村上さんたちが大量に株式を取得し、ジャフコのファンド運用に悪影響をおよぼすリスクを懸念して新規ファンドへの出資を保留する投資家も出てきており、村上さんたちには出て行ってもらうべきだと考えて今回の自己株TOBを決定したと言っているのですから、村上さんたちがルールを守って20%以上買いたいと言ってきても、まあ断らざるを得ないでしょうね。

ではこういった状況を踏まえて村上さんが「もうジャフコ株を市場で売却しよう」と考えるでしょうか?ちなみに応募契約では「村上氏らは、(i)本日以降、本公開買付けに係る決済開始日までの当社株式の処分禁止」(詳細は自己株TOBプレスP4)と定められていました

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8595/tdnet/2210540/00.pdf

もう応募契約は自己株TOBの不実施により終了しましたので、縛りはありません。市場で売ろうと思えば売れます。ただし、売らないと私は思います。

なぜなら「市場で売れば自分の売りで株価を下げてしまい、売り切るころには株価がいくらなるかわからない。市場で売るくらいならVWAP2,362円から1%ディスカウントした自己株TOBに応じたはず」と思われますので。

ですので、旧村上ファンドはジャフコ株を今のところ買い増すことも難しく、市場で売り切ることも難しいという状況になっていると思われます。本当にジャフコと村上さんは協議するしかないのです。私のおすすめは以下です。何度も掲載してスミマセン。

https://ib-consulting.jp/column/4595/

https://ib-consulting.jp/column/4601/

 

 

 

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