2023年06月08日

ボラ対策をしたくてもできない川汽

以下、ダイヤモンドオンラインに興味深い記事がありました。コラムにしようかなとも思いましたが、それほどでもないので簡単にニュースでまとめます。

川崎汽船の明珍社長が“逆張り戦略”不安説に反論「多角化より海運集中で収益伸ばせる」

https://diamond.jp/articles/-/322823?utm_source=daily_pm&utm_medium=email&utm_campaign=20230608

冒頭部分だけ抜粋します。

海運業界が沸き立った空前のコンテナバブルは、青息吐息だった業界3位の川崎汽船を復活させた。ポストバブルの成長戦略で海運2強の日本郵船と商船三井が非海運事業の強化を掲げる一方、川崎汽船は海運集中の”逆張り戦略”を打ち出す。特集『海運バブル終焉 手探りの船出』の番外編では、川崎汽船の明珍幸一社長を直撃し、海運一本足打法の勝算を尋ねた。

なぜ海運2強の日本郵船、商船三井が業績のボラティリティー対策として非海運事業の強化を進めている中で、川崎汽船は海運集中でボラティリティをしないのでしょうか?正確には「できない」のかもしれません。

なぜなら川汽はエフィッシモに38%もの株式を保有されているからです。例えば川汽が「海運はボラティリティが高い。業績安定化のために不動産業を拡大しよう!」と考えたとします。川汽の38%の株式を保有し、取締役にも就任しているエフィッシモがそれを許してくれるでしょうか?

エフィッシモはたぶんこう言います。「それはダメですよ。貴社は海運業に集中特化してください。不動産業なんてやってもらう必要はありません。不動産業なら私たちはテーオーシーの株を持ってますから(すでに売却済み)」

だから川汽は海運業以外の事業を拡大して海運業のボラ対策をしたくてもできないのではないでしょうか?これが特定の株主に大量に株式を取得された会社の経営判断です。本来、海運業のボラを考えると経営者はやはり収益安定化のために他の事業にも投資したいはずですが、それが株主の力が一方的に強いためにできない状態になっています。

株主からしてみれば「川汽は海運業だから投資した。不動産業なんてやってもらう必要はない。私は不動産業は三井不動産株を持っている」ということです。株主は自分たちはポートフォリオを分散するけど、経営者が事業ポートフォリオを分散することに対して寛大ではありません。※もちろん株主全員がそうだといっているわけではなく、アクティビストはそういう傾向が強いように思います。

川汽はなぜこういう状態になってしまったのでしょうか?株主の分散化が図れなかったからです。エフィッシモという特定の投資家に38%もの株式を握られ、株主ポートフォリオが一極集中してしまい、言うことを聞かざるを得ない状態になってしまったからです。

 

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