2024年04月29日

アクティビスト対策も一夜漬けではダメ。毎日コツコツと!

当社の顧問契約先ではありませんが、例えばお客様に「普段からきちんとアクティビスト対策をしないとダメですよ」と申し上げると「いざとなったらお願いしますね」とおっしゃる方がいます。

これ、最もダメなんです。いざとなったらアドバイザーに対応を依頼するってのは最もダメなアクティビスト対策です。最もダメな理由は「有事になることを許容すること」です。有事対策のかなめは「有事にしないこと」です。だから平時に「アクティビストとは?」「アクティビストは会社の何を見ているのか?」「他社は何を見られてどう大変になったのか?」「うちは何をすればよいのか?」を考えて、そして行動しなくてはなりません。

会社を有事にしてしまうと、莫大なコストがかかります。いろんなアドバイザーが寄ってきて「アクティビスト対策としてマスコミ対策をしましょう!相手のネガティブな情報を週刊誌に流すんですよ!」とか「社長!ホワイトナイトしか助かる道はありません!」とか「ホンマにそれしかないんか?」というアドバイスをしてくるでしょう。割と派手でお金のかかりそうなアドバイス・・・。

そして仮に会社が助かったとしましょう。でもですね、その有事の経験、会社には何にも残っていませんよ。なぜならいきなり有事になってアドバイザーがあれこれとアドバイスをするものの、会社はそのアドバイスの本質がわからず「●●弁護士が言ってるんだから正しいんだろ」「●●証券が言ってるんだし」と盲目的に従います。だってアドバイス内容を検証する力がないんですから。アドバイザーの言うことを鵜呑みにするしかありません。

ある意味、一夜漬け・徹夜でテストに挑むのと一緒なんですよ。一夜漬け・徹夜で勉強した内容は自分の中には残りません。消えていくだけです。一夜漬け・徹夜で身に着けたアクティビスト・敵対的買収対策なんて、あっという間に消え去りますよ。忘れてしまいます。そして何が起きるでしょうか?

またアクティビストに狙われるんですよ。一夜漬けのアクティビスト対策など担当者の頭に残っていないし、ましてや組織としてノウハウが根付かない。だからまたアクティビストに同じような提案をされてしまう。そしてまたアドバイザーに高額な報酬を払って一夜漬けして・・・の繰り返しです。

だから私は「アクティビスト・敵対的買収対応を一夜漬けしてはいけない。せっかくお金をかけたのに、対策ノウハウンが資産として会社に残らず、単なる莫大なコストとして消費するだけだから」と考え、上場会社に対して「アクティビスト・敵対的買収対応に魔法などない。いざとなればPRすれば大丈夫とか有事型買収防衛策とやらで対抗すればよいとか考えてはいけない。日々の積み重ねの努力、研究、準備こそがアクティビスト・敵対的買収対応の王道である」と言い続けています。

上場会社のみなさん、三井不動産や住友商事といった日本を代表する会社がアクティビストのターゲットになり、少し古い話ですが、日本を代表する総合商社の伊藤忠商事がデサントに敵対的TOBを仕掛ける時代なのです。貴社が今なぜ狙われていないのか?

それは単に「順番ですよ」ということ。平時からちゃんと準備しておかないといずれ狙われます。ちなみにこれまで狙われた会社はだいたい共通して平時に「うちが狙われるわけない」と考えていたのです。そして狙われたら「なんでうちが?」と考えるのです。

平時からちゃんと考え、対応している会社は、その会社のガバナンスや財政状態、株価に「ちゃんと考えている会社」という印が出ているんですよ。だからアクティビストに狙われないのです!

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからニュースを探す

月別アーカイブ