2019年03月09日

廣済堂のMBO TOB価格を引き上げ

2019年3月8日、廣済堂のMBOに関して、TOB価格の引き上げが公表されました。当初の条件と引き上げ後の条件は以下の通りです。

TOB価格が610円から700円に引き上げられ、買付予定数の下限が引き下げられました。買付予定数の下限は当初の条件では「総議決権の2/3以上の応募がなかったら不成立というものが「総議決権の半分以上の応募がなかったら不成立」というものに緩和されました。2/3の株式を集めなくともTOBを成立させるという条件ですね。

700円という価格ですが、どのように決定したのでしょうか?提出された訂正公開買付届出書を見てみましたところ、以下の記載がありました。いろいろと書いてありますが一部だけ抜粋しておりますので、詳細はEDINETでご確認ください。なお、読みやすいように()書きなどは内容がおかしくならない範囲で削除したり、ちょっと書き換えたりしています。長いので全部読んでいただく必要はありません。2行目から数行読んでくださればOKです。

当初公開買付価格610円は、対象者とベインキャピタルとの間の交渉を経たものであったが、本買付条件の変更後の本公開買付価格700円は、さらにベインキャピタルが公開買付者と利害関係のない第三者であるレノ及びレノの共同保有者である南青山不動産と関係が深いとされる村上世彰氏からの意見も参考の上で、本取引の意義、対象者の企業価値向上のための方策、対象者株式の非公開化の必要性、本取引の方法や条件面などを含め、本取引についてより多くの対象者の株主の皆様にご理解、ご賛同いただき、かつ、最大限株主価値向上に資するものとなるよう、慎重に議論を行った結果決まった価格であって、当初公開買付価格610円からは14.7%以上の増加となっており、さらに、他に比較しうる対象者株式に関する対抗提案もなく、本買付条件の変更後の本公開買付価格はなお対象者の株主の皆様にとって最善なものと考えられ、本公開買付けは、対象者の株主の皆様に対して合理的な売却の機会を提供するものであると考えられること(なお、直近の市場株価は、本買付条件の変更後の本公開買付価格700円を上回っておりますが、これは本公開買付けが公表されたことに加え、レノから大量保有報告書が提出され、またこれがマスコミ報道されたことの影響も受けているものと推測されるため、上記判断を否定する理由にはならないと考えているとのことです。)、(ⅴ)本買付条件の変更前の買付予定数の下限は16,609,000株とされており、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティに配慮されていたが、本買付条件の変更により買付予定数の下限が12,456,800株とされた結果、マジョリティ・オブ・マイノリティの応募が本公開買付け成立の条件とはされないこととなったものの、マジョリティ・オブ・マイノリティは、手続の公正性を担保するための実務上の対応策の1つに過ぎないため、その他の公正性担保措置が十分に講じられていれば、本取引に係る手続の公正性は確保されうるものと考えられることから、土井氏(以下に定義します。)を除く全ての取締役の全員一致で、本買付条件の変更を踏まえても、本公開買付けに賛同する旨の意見及び対象者の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を維持することを決議したとのことです。

なるほど~。村上さんと交渉した結果の700円なのですね~。

私、村上さんならもっと引き上げてくれると思っていたのですが、残念です。本件は来週のコラムで詳しく分析したいと思います。

 

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