2020年02月13日

ちょっと気になる東芝機械

私がちょっと気になっているのは、やっぱり東芝機械の対抗措置発動方法です。本当に普通決議でいいのかなあ、と。

東芝機械のプレスや反対の意見表明には以下のことが書いてあります。

2020年1月24日付け「株主意思確認総会に関する当社における対応について」にてお知らせいたしましたように、決議要件を普通決議とする予定である理由は、以下のとおりです。

(ⅰ)支配株主の異動をもたらす募集株式の発行等の場面において、株主総会決議が必要となる場合にも、その決議要件は普通決議であることから(会社法第206条の2第5項)、同様に、株式の買集めによる支配権取得においても、株主総会の普通決議によって株主意思を問うのが合理的であること。

(ⅱ)株主総会における賛成が過半数を超える場合に、当該過半数の意思を考慮しない実質的根拠がないこと。

(ⅲ)ブルドックソース事件最高裁決定(最決平成19年8月7日民集61巻5号2215頁)においても、「特定の株主による経営支配権の取得に伴い、株式会社の企業価値がき損され、株主の共同の利益が害されることになるか否かについては、株主総会における株主自身の判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り、当該判断が尊重されるべきである。」と判示しており、「株主総会における株主自身の判断」の決議要件について(特別決議が必要である等の)特段の言及をしていないことからすれば、ブルドックソース事件最高裁決定は、株主総会については、普通決議を前提としていると読むことが合理的であること。

なお、当社は、複数の会社法学者から、上記(a)及び(b)を内容とする議案における決議要件を普通決議とすることについて法的に問題がない旨の見解を得ております。

特に気になるのが上の「(ⅱ)株主総会における賛成が過半数を超える場合に、当該過半数の意思を考慮しない実質的根拠がないこと。」という部分です。過半数の株主の意思を考慮しないのはおかしいと言っていますが、ではもし、賛成50.1%・反対49.9%で対抗措置発動が承認・可決された場合はどうでしょうか?確かに過半数が賛成してはいるものの、ほぼ賛成個数に近い人たちが反対しています。その差はたったの0.2%です。この場合、過半数の意思さえ考慮すればよいとなるのでしょうか?むしろ、49.9%の株主の意思も考慮する必要はないのでしょうか?

やっぱり特定の株主の持分を希釈化させたり、追い出したりする対抗措置発動議案は賛成66.67%vs反対33.33%という圧倒的多数の賛成を得る特別決議が必要ではないでしょうか?反対している人の倍の人が賛成しているのだからいいのではないか、と。法律の素人が普通に考えれば考えるほど、特別決議じゃないとダメなんじゃないの?と思ってしまいます。

 

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