2020年10月07日

(一部無料公開)No.867 大戸屋は敵対的TOBへの対抗策としてこういうネガティブキャンペーンを展開してみたらどうでしょうか?

2020年07月15日に有料公開していたNo.867 大戸屋は敵対的TOBへの対抗策としてこういうネガティブキャンペーンを展開してみたらどうでしょうか?を一部無料公開します。

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以下のとおりHPに上げましたが、先日大戸屋に行ってきました。10年ぶりです。大戸屋って本当においしいですね。ファンになりましたよ。大戸屋でランチしていたら、大戸屋の対抗策を思いつきました。

チキンかあさん煮定食!こういう対抗策もしてみたら?

ここで書いたとおり、かつてドン・キホーテに敵対的TOBを仕掛けられたオリジン東秀は店頭に「私たちはドン・キホーテの敵対的TOBに反対しています」というポスターをはって対抗しました。まあ、それだけでオリジン東秀がドン・キホーテの敵対的TOBを退けた訳ではありませんが、今の大戸屋は打てる手をすべて打ったほうがよいと思います。

抜本的な対抗策になる訳ではないのですが、私が思いついた作戦は「セントラルキッチンを使うと、大戸屋の定食はこんなにまずくなるんです作戦」です。大戸屋は株主提案に対する意見表明で以下の主張をしています。

本株主提案が承認可決され、これらのコスト削減に偏った施策が推し進められた場合には、素材・調理へのこだわりが弱まった画一的な料理を提供することになり、美味しく かつ健康に資する料理を提供するという当社の経営理念が蔑ろにされ、当社の企業価値・ブランド価値を毀損する可能性が高いと考えております。なお、当社としても、経営改善のためこれまでも聖域なく様々な経営施策の可能性を模索する中で、セントラルキッチンの可能性を検討することはありましたが、お客様に支持される主要なメニュー・素材群について、店内調理とセントラルキッチンでの加工品を比較したときに、味、鮮度、食感、栄養価など品質に直結する各要素が明らかに低下することが確認されており、本株主提案が可決され、コロワイドのセントラルキッチン利用が広く推し進められた場合、このような品質低下につながる可能性があり、これまで大戸屋をご支持いただいているお客様からの評価が低下するなど、深刻な顧客離れにつながり得ると考えられます。

仕入条件の統一によるコスト低減については、当社は厳選された安全・安心な食材の仕入れにこだわっており、コロワイドグループが運営している寿司屋、居酒屋及び焼き肉屋等の業態で利用されている食材とは、品質面で共通性が乏しいことが想定されます。このため、仕入れの共通化は、かえって食材の品質低下を招き、お客様の喪失につながるリスクがあるものと考えております。

これ、皆さんわかりますかね?いや、言っていることはわかるんですよ。ただ「本当にセントラルキッチンを使うと品質が低下するの?」って思うんですよ。なぜそう思うのでしょうか?

簡単です。それは「食べてないから」です。いくら素材・調理へのこだわりが弱まるとか、店内調理とセントラルキッチンでの加工品を比べると品質が劣るとか言われても、本当のところは食べてないからわからないんですよ。

だったら簡単です。株主に食べてもらえばいいんですよ。

大戸屋が実際に素材・調理へのこだわりが弱まった画一的な料理」「セントラルキッチンでの加工品」「寿司屋、居酒屋及び焼き肉屋等の業態で利用されている食材」などを使った料理を大戸屋が実際に作って、株主に食べてもらえばいいんです。

大戸屋が株主に対して実際に大戸屋で店内調理した料理とセントラルキッチンでの加工品や寿司屋・居酒屋・焼肉屋で利用されている食材を使った料理を店舗で提供して比較してもらうんです。「店内調理vsセントラルキッチン定食」です。

まあ、コロワイドのセントラルキッチンを使わせてもらえないでしょうから、過去、大戸屋は実際にセントラルキッチンの活用を検討し比較したことがあるようなので、その時の料理を株主に提供すればよいだけです。コロワイドが仕入れている食材も仕入れ業者を調べてみれば、だいたいはわかるんじゃないですか?

大戸屋は実際に「おいしくない」と考えているわけですから、それを株主に試食してもらうのです。株主には株主優待券を提示してもらって、各店舗で試食できるようにします。そして食べた感想を書いて提出してもらいます。もちろん記名式です。

「そんなことをする時間がないのではないか?」 そうですよね~。本当に大戸屋は買収防衛策を導入しておけばよかったですよね。買収防衛策があれば時間をかせげますし、こういった対抗策もできます。ただ、買収防衛策がなくとも、先日申し上げたとおり、コロワイドに対して【この部分は非公開とさせていただきます。】と主張しましょう。

今回のTOBは全株買収ではなく、TOBが成功したとしても大戸屋の上場は維持されます。コロワイドの経営がうまくいかず将来的に株価が下落した場合、株主が損害を被る可能性があります。ですから、コロワイドの主張する企業価値向上策が株主のためにならない、つまり「セントラルキッチンで作った定食はマズイと我々は考えているから、中長期的な客離れにつながる」ということを説明し、実際に食べてもらって納得してもらうのです。

株主が実際に食べてみて「これ、おいしくないね」「大戸屋じゃなくなってしまう」と考えてくれたら、TOBに応募しない株主が増える可能性があります。これだけでコロワイドに対抗するのは難しいですが、今回のTOBには下限もつけられています。大戸屋は個人株主が多いものの、安定株主もいます。機関投資家は上限がついており上場が維持される条件の場合、応募しない可能性があります。実はけっこうきわどい勝負なのです。

大戸屋は本当に店内調理が企業価値の源泉であると考えているのなら、きっちりと大戸屋の味で攻めて、TOBに応募しないファン株主を少しでも増やすことも大戸屋が生き残るための策の一つです。

 

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