2024年01月25日

旧村上ファンドがまた大平洋金属の大量保有報告書を提出

まあ見た瞬間に「やっぱりなあ」という感想を持ちました。旧村上ファンドが大平洋金属の大量保有報告書を提出しました。これで2回目ですね。保有割合5.76%、保有株数1,128,200株、取得資金1,336,011千円です。ちなみに大平洋金属についてはエフィッシモも大量保有報告書を提出しており、保有割合は5.11%です。

旧村上ファンドが前回大量保有報告書を提出したのは2021年11月10日で、その後変更報告書も提出しましたが、同年11月24日の変更報告書で保有割合が4.80%になりました。

たぶん大平洋金属は継続して旧村上ファンドの取得状況をチェックしていたでしょうから、驚きはないでしょう。

では株価、保有割合等の推移です。

グラフ作成上、前回の変更報告書提出日(2021年11月24日)と今回の大量保有報告書提出日をつなげちゃいましたけど、いつから取得を再開したのかはわかりません。保有割合も2021年11月24日時点よりも減っていたことでしょう。

大平洋金属がなぜまた大量保有報告書を提出されてしまったのか?簡単ですね。株価が下がったからですよ。大平洋金属って前回大量保有報告書を提出された後、なぜすぐに旧村上ファンドが売却したのでしょうか?これも簡単ですね。株価が急騰したんですよ。旧村上ファンドが大量保有報告書を提出した2021年11月10日の終値は2,030円でしたが、翌11月11日の終値は2,377円と大幅に上昇しました。すると旧村上ファンド(野村絢氏とレノ)は11月11日から売却を始めました。これ、大平洋金属が何かしら対策を打ったから株価が上がって旧村上ファンドが出て行ってくれたのでしょうか?

違いますよね。マーケットが旧村上ファンドの登場に過剰なまでに期待して株価が急騰したおかげで、旧村上ファンドが表立っては何もせずに出て行ったのでは?もちろん水面下ではすでに接触され何かしらの経営改善要求がなされたり、対応をしたりしていたのかもしれませんが。

で、どうして旧村上ファンドが2度目の大量保有報告書を提出するに至ったのでしょうか?株価推移を見れば簡単にわかりますね。下がっているからですよ。

一度アクティビストに目をつけられたんですから、彼らの頭の中には大平洋金属という名前がインプットされました。常に見られてしまうようになったのです。だから「お!最近大平洋金属、下がってきたやん!また買おか!」ってことになるんですよ。

私が「旧村上ファンドのターゲットになってしまったら、イヤかもしれないがなるべく早めに大規模株主還元を公表し出てってもらった方がよい」と考えるのがこういうことです。何もせずにラッキーなことに株価が上がって出て行った先って、舞い戻ってくる可能性がけっこう高いし、別のアクティビストが寄ってくる可能性もあるんですよ。大平洋金属がそうだと申し上げているつもりはないのですが、ようは「神頼みをするのはやるべきことをやった後であり、お祈りだけしていても効果はない」ということなんです。

アクティビストが登場したことを察知したら、いつまでに何をやるべきか?をちゃんと考えたうえで行動しないとダメなんです。「ラッキー!株主還元とかしなかったけど、株価が上がって出て行ってくれたぞ!」じゃないんですよ。そして「もう舞い戻ってこないだろ?」っていう「だろう経営」が一番ダメなんです。

本来、旧村上ファンドに狙われてしまったという事実すら私はおおやけにすべきではなく、なるべくおおやけにならないうちに出て行ってもらった方がよいと考えています。旧村上ファンドに狙われた会社というレッテルをはられてはいけないのです。

だから私はシチズン時計という会社を非常に高く評価しています。ちょっとだけ残念と言えば残念なのですが、まあ仕方がないです。すごい決断をなさった会社だと思います。

 

 

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