2019年09月06日

持ち合いの一番の問題点は何か?

今日の日経15面の記事では「持ち合いの一番の問題点はお互いが「物言わぬ株主」となることで、株主総会の決議が形骸坂することだ」と指摘しています。

私は確かにこれも問題かとは思いますが、本当の問題はこれではないと思います。持ち合いの一番の問題点は、何のために持ち合いをしているのかこれまでちゃんと上場会社が株主に説明してこなかったことではないでしょうか?

社長をはじめとした役員がその地位に固執したいがために持ち合いをやっているのでしょうか?もしそうだとしたら、ほとんどの会社が持ち合いで安定株主を過半数確保しているでしょう。でも現実にはそこまでやっている会社はあまりありません。持ち合いによる安定株主は過半数もいません。何のために持ち合いをやっているのか?短期的に見れば株価が上がる経営施策かもしれないけど、その経営施策を実行すれば従業員の給料が上げられない、取引先との関係や取引価格に悪影響が出るかもしれない、10年先を見据えた設備投資にも悪影響が出る。そのような施策は全ステークホルダーの利益を考えるとできないのです。たとえ短期的には株価が上昇し、特定の株主だけを利する施策ではあっても、です。

持ち合いとは、一部の悪意のある株主対策として、少しの経営資源を用いて会社を守るためにやっている行為です。どのような株主なのかは今日のコラムをご覧ください。

持ち合いの意義をちゃんと説明すべき時代です。これまでのようになあなあで「持ち合いの意義は説明しなくてもわかりますよね?」では通用しません。

 

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