2019年08月23日

Japan Act合同会社、投資先のサンエー化研に要望書を提出

ちょっと気になったのでまとめます。Japan Act合同会社という投資家が投資先のサンエー化研に以下のような要望書を提出したそうです。

http://www.japanact.com/wp/wp-content/uploads/2019/08/sanne-kakenn_20190821.pdf

過大に保有する投資有価証券の縮減等に関する方針、考え方を明示せよという内容です。

サンエー化研は、第110期有価証券報告書の連結貸借対照表によると2019年3月31日時点で4,676,077 千円の投資有価証券を保有しており、そのうち3,995,055,千円が非上場株式以外の株式であるとしています。これはサンエー化研の時価総額と比較すると非常に過大であると考えられます。 またサンエー化研は、ホームページ上に2019年7月12日付けで改訂したことを開示した「コーポレートガバナンス報告書」において、「政策保有に関する方針」と題した方針を示しておりますが、内容は「政策保有株式の縮減に関する方針、考え方」ではなく、「政策保有株式の保有に関する方針、考え方」が示されております。改訂後の CGコードには、「政策保有株式の縮減に関する方針・ 考え方」について示すよう記されており、サンエー化研が開示した「政策保有株式の保有に関する方針、考え方」は極めて認識がずれていると言わざるを得ません。

なるほど。ガバナンスコードでは縮減に関する方針を書けと言っているのに、サンエー化研は保有方針を書いているということですかね。別にいいんじゃないですか?サンエー化研は縮減方針を有していないのでしょう。書くとしたら「縮減方針はない」と書けばよかったのではないでしょうか?

サンエー化研は「営業上の取引関係強化」としているようですが、JapanAct合同会社は、以下のようにCG コード補充原則 1-4

1-4① 上場会社は、自社の株式を政策保有株式として保有している会社(政策保有株主) からその株式の売却等の意向が示された場合には、取引の縮減を示唆すること などにより、売却等を妨げるべきではない。

1-4② 上場会社は、政策保有株主との間で、取引の経済合理性を十分に検証しないまま 取引を継続するなど、会社や株主共同の利益を害するような取引を行うべきではない。

を例に挙げて、

上述のように、株式の保有と取引関係は区別して考えなければならず、「投資先企業との取引実績及び当社業績への影響」や「営業上の取引関係強化」などは、 保有の理由として適切でないと考えます。

と主張しています。東証は「株式を売却したいと言ってきた場合に取引関係を材料にして売却を妨げるな」と言っているだけです。株式を売られた後に、取引を縮減することに関して言及はしていません。また、株式保有と取引関係を区別しろ言っていますが、取引関係を強化するために、接待したり、営業したりするのと同じ感覚で「株も持ちます!」というセールストークを言うのはヘンですか?別におかしくないでしょ?

ただし、株式保有に関する理由に関しては、もう限界を迎えているように思います。そろそろ正直に書くことを検討しなくてはならないステージに来ていると思います。政策投資株式の保有理由は「短期的な株価上昇や他のステークホルダーの利益を犠牲にしてでも自分たちの利益追求のみにまい進する悪辣な投資家対策として保有している」でいかがでしょうか???

それが真実だと思います。

 

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