2019年12月19日

ニューフレアTOB方針は継続、不成立でも困らず=東芝会長

ロイターにニューフレアTOB方針は継続、不成立でも困らず=東芝会長という記事がありました。

記事の主な内容は、

・東芝の車谷暢昭会長兼CEOは、ニューフレアテクノロジーの完全子会社化に向けて実施しているTOBを淡々と進める考えを示した上で、成立しなくても「特に困らない」と述べた。

・車谷会長は、ニューフレアの完全子会社化を目指す方針を継続するとしながら、TOB価格の引き上げは想定していないとした。

・もともとニューフレアなど上場子会社へのTOBは、親子上場に伴う利益相反を防ぐための政府の指針を踏まえた取り組みだと車谷会長は説明。ニューフレアとの間に、親子上場によるガバナンス上の懸念が実際にあるためではないとし、TOBが成立せず現在の親子関係が継続しても目先、不都合はないとの考えを示した。

・車谷会長はHOYAの示した価格について「我々の株を売るような値段では全然ない」と指摘し、機関決定したわけではないとしながら「(東芝グループとして)売ることはあり得ない」と明言した。

車谷会長はHOYAの示した価格について「我々の株を売るような値段では全然ない」と指摘し、機関決定したわけではないとしながら「(東芝グループとして)売ることはあり得ない」と明言した。

抜粋ですので、詳しくは記事をご覧ください。コラムやニュースでも申し上げましたが、やはり東芝は相手の土俵には乗らないようです。でも東芝機械が東芝グループのTOBに応募しないとTOBはおそらく成立しませんね。でも東芝機械はもう東芝グループではありませんから、HOYAより安い価格のTOBには応募しにくいですね。

さて、どうしますか?東芝が東芝機械に対して「東芝は絶対にHOYAには売らない。ということはHOYAのTOBが成立することは絶対にない。いくらHOYAが高い価格を提示したところで、東芝が応じない以上は絵に描いた餅。東芝機械がニューフレアテクノロジーの株を売りたいのなら、東芝のTOBに応募するしかない」と言って説得しますかね?

さて、東芝が上記のような説得をすると仮定して、ではどうなるでしょうか?村上ファンドが東芝機械に対してプレッシャーをかけるでしょうね。でも東芝機械も「いやー、そう言われましても、東芝さんがHOYAのTOBには絶対に応募しないと言っているので、我々も高い値段のTOBに応募したいのはやまやまですが、成立する見込みがない以上、東芝のTOBに応募せざるを得ません」と言いますよね。

このTOBのカギを握っているのは東芝機械ではありません。記事で車谷CEOがおっしゃっていますが、ポイントになるのは東芝です。東芝がHOYAのTOBに応じない以上、HOYAのTOBは成立しないのです。

ただし、ポイントになるのが東芝だけかと言われたら、これも正確には違います。TOBの成否を決めるポイントは何でしょうか?それは価格ですよ。価格以外ありえません。HOYAがTOB価格をドンドン引上げ、東芝が応じない理由が説明できない価格になったら?当然、東芝の株主は東芝経営陣に対して「ちゃんと検討したのか?HOYAの提示する値段でHOYAに売却すべきだ」という声が強まる可能性があります。

東芝は株主構成がこうなってしまった以上、価格を重視する必要があります。今回のニューフレアテクノロジー争奪戦の真のポイントは、東芝機械でもなければ、東芝でもないのです。TOB価格なのです。

 

 

 

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