2019年12月12日

村上ファンドがターゲットにしたニューフレアテクノロジーの状況を整理してみましょう

現在、東芝のグループ再編が行われており、東芝の100%子会社である東芝デバイス&ストレージ㈱がニューフレアテクノロジーに対してTOBを実施しています。TOB価格は11,900円です。なお、TOBの下限が設定されており、1,633,700株(所有割合14.27%)集まらないと、TOBは不成立です。なお、ニューフレアテクノロジーの主な上位株主ですが、東芝デバイス&ストレージ㈱50%、東芝機械15.07%です。

こう見ると、一見簡単なTOBですね。だって東芝機械が応募しちゃえばTOBは成立します。「当然、東芝機械は応募するでしょ?だって東芝機械なんだもん。」 果たしてそうでしょうか?

東芝機械の株主構成ですが、第1位株主は㈱オフィスサポートで5.93%です。村上ファンドですね。村上ファンドの保有割合は合計で9.19%です(2019年11月29日時点)。「あれ?東芝が筆頭じゃないの?」 違うんですよ~。東芝はまだ株を持ってはいますが、2.77%しか保有していない第6位株主に過ぎません。その他、外国人株主比率24%、個人その他41%です。ちなみに東芝機械は2020年4月1日から「芝浦機械」に社名変更します。https://newswitch.jp/p/16635

東芝デバイス&ストレージ㈱が提出した公開買付届書には以下の記載があります。

本公開買付けの実施に当たり、公開買付者及び株式会社東芝は、対象者の第2位株主であり、対象者普通株式に関し、共同して株主権を行使する旨合意している東芝機械株式会社に対して本公開買付けへの応募につき申し入れを行い、協議を行っております。これに対し同社からは、同社が所有する対象者普通株式1,808,900株(所有割合:15.80%)の本公開買付けへの応募について継続して検討する旨の連絡を2019年11月8日付で受けており、引き続き誠実に協議を行ってまいります。

東芝機械は東芝グループではないし、簡単に応募はできません。ちゃんと適切な価格かどうかを検証したうえで応募する必要があるでしょう。といったことを村上ファンドから言われているかもしれません。

そして、2019年12月2日に村上ファンドグループの㈱南青山不動産がニューフレアテクノロジーの大量保有報告書を提出し、12月6日には変更報告書を提出しました。保有割合は6.22%です。保有株数711,900株、取得資金の総額8,463,582千円なので、1株当たり11,889円で取得していることになります。TOB価格11,900にギリギリ届かないところで買ってますね。

村上ファンドは東芝機械に対して「あなたたちは東芝とちゃんと交渉しているのか?ニューフレアテクノロジーへのTOB価格を引き上げさせるべきだ」と主張していないでしょうか?で、東芝機械が東芝に対して「価格を引き上げてほしい」と交渉するでしょうか?ま、交渉はするかもしれませんが、東芝は上げないでしょうね。

だって、東芝の株主にはたくさんの強面がいらっしゃいますよね?キングストリート、エリオット、エフィッシモ・・・。東芝機械に価格を上げてくれと言われて、「はいはい。東芝機械さんは村上ファンドに買われて困ってるもんね。かつてはうちのグループだったのだから、よし、TOB価格を引き上げてあげよう!」とはなりません。そんなことしたら強面のアクティビストたちに何を言われるかわかりませんから。

東芝の株主にはエフィッシモらをはじめとしたアクティビストがいる。東芝機械の株主には村上ファンドがいる。そしてニューフレアテクノロジーの株主にも村上ファンドがいる。いやー困りましたな・・・。あっちを立てたらこっちが立たん状態ですね。

エフィッシモ、キングストリート、エリオットなど⇒東芝に「TOB価格を上げるんじゃねーぞ!」

村上ファンド⇒東芝機械に「そんなTOB価格で応募するんじゃねーぞ!」

村上ファンド⇒ニューフレアテクノロジーに「東芝に言ってTOB価格を上げさせろ!」

これの解決策は「もうーーー!!!株主同士で話し合いしてください!!!」と逆ギレする、でどうでしょうか?

ま、マジメな話、東芝がTOB価格を上げることはないのでしょうね。だとすると、東芝機械に対して村上ファンドが何と言ってきているかが重要ですね。何を言ってきているのか、それに対して東芝機械はどう対処するのか?

対処方法を間違えると血祭りにあげられます。

 

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