2020年02月12日

オフィスサポートも日経の社説をツイートしていますね

ツイッターというものを初めて使ったので「ツイートしている」という表現が正しいのかどうかよくわかっていませんが、オフィスサポートも本日の日経社説企業は敵対的買収を過度に恐れるなをツイッターにあげていますね。では再度社説について言及します。

経営陣の同意を得ず企業にTOB(株式公開買い付け)を仕掛ける敵対的買収が、相次いでいる。株価が低迷する企業にとっては大きな脅威だろうが、買収防衛策や株式持ち合いによって「守り」を固める企業が増えれば、日本株市場の魅力を損ないかねない。

どうして守りを固める企業が増えたら日本株市場の魅力が損なわれるのでしょうか?ここがよくわかりません。皆さん、事前警告型買収防衛策を本当に誤解していると思います。繰り返し申し上げますが、事前警告型買収防衛策は買収提案の実現を阻害するための施策ではなく、株主をはじめとしたステークホルダーが買収提案の内容を検討するための情報と時間を確保するための施策です。どうしてこの施策が買収防衛策なのでしょうか?それは事前警告型買収防衛策を導入する際のプレスリリースのタイトルに(買収防衛策)と記載するよう東証が指導しているからです。情報と時間を確保するための施策を導入すると、どうして日本株市場の魅力が損なわれるのでしょうか?

「現に買収防衛策を導入していた企業に対する買収提案は時間を引き延ばした結果実現しなかったではないか!」というご指摘もあるでしょう。しかしそれって、対象会社が本当にゴネたせいで実現しなかったのでしょうか?買収提案を仕掛けられた対象会社は当然、株主や従業員、取引先、地域社会などにとってその買収提案が本当に価値のあるものなのかどうかを検討しなくてはなりません。たかが30営業日で全ステークホルダーのための検討を終了できる訳がありません。A社とB社が友好的に合併するケースがあるとして、その合併話がたったの30営業日でまとまるでしょうか?まとまる訳がありません。1年かかって当然です。いや、2、3年かかるのが普通でしょ?ちなみにオラクルがピープルソフトに敵対的買収を仕掛けた際には1年半くらいの時間がかかったと記憶しています。

敵対的買収であれ友好的買収であれ、時間がかかるのは当たり前です。そんな現実を理解せずに買収防衛策導入企業に対して敵対的TOB提案をし、たかだか半年とか1年の時間をがまんできずに買収をあきらめた買収者のほうに問題があります。

現在、日本の経営者は株主を軽視した経営などしていません。いや、できません。これだけ安定株主比率が低下している現実を考えると、一般株主を無視した経営などできるはずがないのです。日本の経営者は株価を高めるべく、株価を意識した経営を実践しています。ただ、時間がかかっているだけです。

企業の戦略として敵対的買収を否定すべきではない。合意なしに買収できないとなれば業界再編やグループ再編がなかなか進まず、日本の産業競争力を損なう恐れがある。買収先と自らの競争力を高める再編と考えれば、敵対的であろうとTOBで株主に信を問うのは正しい戦略だ。

敵対的買収は全否定されてはいけません。そりゃ当たり前です。しかし不当な条件で買収されて困るのは株主もそうですし、従業員や取引先、地域社会だってそうです。TOBとは株主に対して「保有している株式を市場株価に●%のプレミアムを付けた価格で売ってもらえませんか?」と提案している行為ですから、敵対的であっても応じるかどうかは株主が決めることです。しかし、本当にその買収提案が株主以外のステークホルダーにとって利益をもたらすものなのかどうか、利益をもたらさない場合は株主に応募を控えてもらわなくてはならないがそのための代替案は何なのかを考えなくてはなりません。そのための情報と時間を確保する施策が事前警告型買収防衛策なのです。これのどこが非難されなくてはならない施策なのでしょうか?

敵対的買収の増加は日本株の投資価値を高めることにもつながろう。東証1部企業の半数近くの株価は解散価値を下回っている。敵対的買収が少なければ経営陣にプレッシャーがかからず、株価が割安でも放置されてしまう。

おっしゃるとおりですね。敵対的買収は増えたほうがいいと思います。株価が割安に放置され、不当に安い価格で買収できしてしまう状態はよくありません。ただし、割安に放置されている会社の株価が割安でなくなるには、相応の時間がかかります。当然、平時から経営者は株価が割安な状態にならないよう、業績を上げ、メッセージを株式市場に発信していく必要があると思います。一方、敵対的買収はいつ仕掛けられるかわかりません。経営者が株価を上げるために必死に努力している最中に仕掛けられることもあります。当然、買収者は割安な状況で買いたいと思っていますからね。敵対的買収が突然仕掛けられて不当に割安な価格で会社が買収されないよう、事前警告型買収防衛策をきちんと導入しておくべきでしょう。

企業は敵対的買収を恐れるあまり買収防衛策や株の持ち合いに走るべきではない。15年に始まった企業統治改革によって、買収防衛策を廃止したり持ち合いを解消したりする企業が増えてきた。これが海外投資家からの評価にもつながっている面もあり、この流れを逆戻りさせてはならない。

まず誤解があります。15年に始まった企業統治改革によって買収防衛策を廃止した企業が増えた訳ではありません。持ち合いも企業統治改革によって減った訳ではありません。持ち合いが減った大きな要因は金融機関がバーゼル対応などのために保有株を売却し始めたことです。これにより日本企業の安定株主比率が低下し、機関投資家受けの悪い事前警告型買収防衛を維持することができなくなったため、やむなく廃止した会社が多いというのが現実です。

敵対的買収はこれから確実に増えます。事前警告型買収防衛導入企業に対する買収提案はこれまでほとんどありませんでした。事前警告型買収防衛の本当の機能や効果がわかっていない状態で、かつ、これから敵対的買収が増え、事前警告型買収防衛が必要になってくる時代を迎えるというのに、日本企業は廃止してしまいました。逆戻りではなく、事前警告型買収防衛策はこれから必要になってくるのです。

事前警告型買収防衛策の存在が本当に株主、経営者、従業員、取引先、地域社会にとって価値あるものなのかどうかはまだわかっていないのです。

経営陣が株主との対話を通じて経営改革を進めていれば、敵対的な買収者が現れても株主はなびかない。株主との信頼関係の結果が株価だ。株価を上げることこそ敵対的買収への最も有効な防衛策となるのを、忘れてはならない。

いえ、今の日本株市場は投資家のレベルも低いと思いますよ。市場株価にちょこっとプレミアムをのっければ、それがBPSよりも割安な価格であっても株主はなびきます。

 

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