2020年02月18日

トヨタの持ち合い 何映す

今日の日経7面に(Deep Insight)トヨタの持ち合い 何映すという記事があります。非常に興味深い内容ですし、私もそう思います。

特に

4兆円の運用資産を抱え、世界最大ともいわれる米アクティビスト(物言う株主)、エリオット・マネジメントがソフトバンクグループ(SBG)の発行済み株式の約3%を保有した。取得額は3千億円近いという。分析はいろいろ可能だ。だが、最も興味深いのは「株式時価総額がもはや物言う株主から身を守る防御壁にはならなくなった」ということだろう。SBGの時価総額は12兆円。日本の株式上場企業で2番目に大きい。

というところです。ソフトバンクのみならず、日本を代表する企業であるキリンHDですら株主提案のターゲットになりました。そして次はトヨタ自動車がターゲットになる可能性だって否定できません。以下のとおりです。すみません、有料です。

No.768 ソフトバンクがエリオットに狙われた!

エリオットなどは会社の事業にも口を出してきますから、過去、日本企業が有するキャッシュに目を付けて狙ってきたアクティビスト・ファンドに比べればやっかいです。でもこういったエリオットのような投資家が日本企業を狙っている一方で、昔からのアクティビスト・ファンドもまだ日本企業を狙っています。少なくともこういったアクティビスト・ファンドのターゲットにならないよう、必要な手許現金の水準などはよく検討しておいたほうがよいでしょうし、必要に応じて配当や自社株買いにまわしたほうがよいでしょう。また、あわせて事前警告型買収防衛策の導入も議論、検討したほうがよいと思われます。

ではこの記事で指摘する「持ち合い」はどうでしょうか?私、以前から申し上げている通り、持ち合い=悪とは思っていません。日本企業が、一部の自分たちの利益しか考えない強欲な株主対策として行っているのが持ち合いです。持ち合いによって過半の安定株主を確保している企業はめったにありません。日本企業が行っている持ち合いは、ある意味、必要最低限の水準であり、現在ではその水準はドンドン下がっています。

日本の経営者は決して保身のために持ち合いをやっている訳ではないです。保身が目的なら過半の安定株主を持ち合いで確保するはずですが、そんなことをしている経営者は(ほとんど)いません。

と言ってもたぶん機関投資家は持ち合いを否定するでしょうね。そりゃ当たり前です。だったら、日本企業が事前警告型買収防衛策を導入するくらい許してやったらどうでしょうか?機関投資家の皆さんは事前警告型買収防衛策が買収防衛策ではないことに気付いていますよね?機関投資家にとって「せっかく減ってきた持ち合い」を復活されるより、事前警告型買収防衛策を認めてあげたほうがいいのではないでしょうか?

 

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