2020年02月19日

オフィスサポートが「公開買付期間延長のお知らせ」を公表

昨日オフィスサポートが東芝機械に対する公開買付期間の延長に関するお知らせを以下の通り公表しています。

http://officesupport.bz/

気になる点をいくつかコメントします。詳細は来週くらいのコラムで。

公開買付者グループは、東芝機械が 2020 年 1 月 17 日に公表した大規模買付行為等への対応方針の導入(以下「本買収防衛策」といいます。)について、本買収防衛策が我が国の「有事型買収防衛策」の悪しき先例となることにより

そうですねえ・・・。実際、平時に買収防衛策を導入している会社の多くは「買収防衛策の発動は困難」と理解していると思います。こういったことが起きることによって「日本の経営者は買収防衛策を本気で発動することを考えている!」と捉えられると非常に残念です。本当に平時の買収防衛策導入企業は発動について考えていません。伝家の宝刀であり発動してはいけないと理解していると思います。

このような不当な買収防衛策により、適法に開始された公開買付けが妨げられるようなことが二度と起こらないように、本買収防衛策の問題点については、現在、金融庁、東京証券取引所、経済産業省に精査いただくべく申し入れを行っております。

こういうことになって、平時の買収防衛策にまで余計なことを言われると困るんですよね・・・。だから発動はやめていただきたいのです。平時の買収防衛策をまじめに導入している会社にとっては迷惑になることもありますので。

公開買付者グループは、上場企業における最良の買収防衛は、株主価値を向上させ、株価を高く維持することであると考えております。

おっしゃるとおりです。買収防衛という意味では株価を上げるのが一番です。ただし、東芝機械は置いておきますが、平時の買収防衛策は実は買収防衛策ではありません。買付者に対して、20%以上の株式を取得する場合は株主をはじめとしたステークホルダーが買収提案をちゃんと検討できるよう情報と時間を提供してほしいと要請しているルールに過ぎません。ルール違反や不当な買収提案などの場合は発動することもあり得ますが、現実的には難しいでしょうね。ルールは違反しなければいいだけですし、不当な買収提案ってどんな買収提案ですかね?不当な買収提案って、世の中にそんなにないと思います。そもそも誰が見ても不当な買収提案など買付者がする訳ありませんから。だから現実的に平時の買収防衛策は発動しにくいと思います。また、アドバイザーも発動前提での対応などアドバイスしないでしょう。

このことは、東芝機械の坂元代表取締役副社長が 2020 年 1 月 24 日付け日刊工業新聞のイン タビュー記事において「ROE(株主資本利益率)目標は概念的な目標に近かった。元々の株主は東芝で そこに目線が向かっていた」と述べていることからも明らかであると考えております。

 

今般、東芝機械は、本公開買付けの開始後、2020年2月4日に新しく中期経営計画「経営改革プラン」を公表し、「2023 年度に営業利益率 8%、ROE8.5%を目指す」ことを明らかにしましたが、東芝機械は、過去10年間、中期経営計画の目標を一度も達成できていないばかりでなく、9回にも渡って、中期経営計画の目標値を塗り替えることで(中期経営計画の期間中に新たな中期経営計画に塗り替え)責任を曖昧にする不誠実な経営を行い、利益剰余金を積み増し、株主への還元及び成長投資を怠ってきました。

村上さんたちは東芝機械がかつて東芝しか見ていなかったことや過去の経営計画が未達だったことを指摘していますが、ここはもう許してあげたらどうですか?東芝のグループ会社である以上東芝を重視するのはある意味しょうがないでしょう。でも生まれ変わるって言ってるんですから、ここはもういいのではないかと思います。

詳細は後日のコラムで。

東芝機械は有事導入・発動という大それた対抗策に打って出ましたが、果たして臨時株主総会で対抗措置発動議案が可決されるでしょうか?おそらく国内外の機関投資家は全員反対するでしょうね。期待できる賛成票は安定株主と個人株主かと思いますが、個人株主も反対する人は多いと思います。

なお、東芝機械が発動を成功できるかどうかも重要なのですが、上場会社に共通して言えることは、東芝機械のような状態にならないようにどうしておくべきか?です。村上さんたちの主張に対して違和感を持つ経営者もいらっしゃるでしょうが、上場している以上、いつ何時でもターゲットになる可能性があります。よく「そんなにうちの会社が嫌いなら、株を買うなよ」とおっしゃる方がいますが、それはムリです。上場している以上は狙われる可能性があるのです。狙われないようにするには、やはり株価を高めておくことは必須ですが、それだけでは不十分でしょう。株価が常に経営者の思いを反映させた価値になるかどうかはわからないからです。会社の本当の価値と株価に乖離が生じる瞬間を見逃さないのが村上さんたちなのです。そして村上さんたち以上の強面が日本の上陸しています。キリンHDに株主提案がなされるなど、10年前には想像もしていなかったことです。日本郵船が村上さんたちのターゲットになるなんて、誰が想像していたでしょうか?

株価を上げるための施策を実行していくことは当たり前であり、それに加えて買収防衛策と残念ながら呼ばれてしまっている事前警告型買収防衛策をきちんと導入しておくべきでしょう。導入できない会社はありません。「安定株主比率が低いからムリ」 工夫すれば導入できます。

買収防衛策とは買収提案の実現を阻害するための策ではなく、会社の危機管理ツールの一つです。

 

 

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