2020年02月21日

やっぱり前田道路はホワイトナイトを探していたんですね

今日の日経2面に以下の記事がありました。非常に興味深い内容です。特に以下の部分。

前田道路、資産削減の奇策 配当6倍で前田建設TOB対抗

道路舗装事業などを手掛ける前田道路が20日、従来の2020年3月期計画の6倍に相当する535億円の特別配当実施を決めた。ゼネコン準大手の前田建設工業による敵対的TOBへの対抗策と位置付け、TOB撤回を狙う。「資産を削る」異例の対策は初めから考えていたわけではない。事態が急変したのはわずか1週間前のことだ。

「やはり高すぎる。対抗TOBはできない」―。2月中旬、前田道路幹部は建設・不動産業界の大手企業の連絡にがくぜんとした。対抗策の要だった、友好的な第三者のホワイトナイトになってもらう交渉の終わりを意味していたからだ。

前田建設が1月20日に発表したTOBを受け、前田道路は即パートナー探しに動いた。大手外資系ファンドなど複数社と接触。全株式を取得してもらう案なども検討したが、労働組合などに反発された。「シナジーがあるなら子会社でもいい」(幹部)と石油など幅広い業界をあたっても交渉はまとまらなかった。

ようやく近づいた相手とはTOB価格(1株3950円)を上回る価格で調整。株式の3割程度を取得してもらう方向で話が進みつつあったが、実らなかった。

もうキャッシュを吐き出すしかない。最後の手段は19年12月末で850億円ある手元資金の約6割を配当に充てる異例の対策だった。

やはりホワイトナイトを探していたんですね。特別配当を実施すると言う対抗策だけを公表するのになんでこんなに時間がかかったんだろうかと不思議に思っていました。なるほど。建設・不動産業界の大手やファンド、その他たくさんの会社に声をかけたけど、実らなかったようですね。あの過激な反対の意見表明を読めば「ああ、ホワイトナイトね」と思っていましたが、うまくいかなかったのですね。

反対の意見表明が過激なので、相当期待の持てる戦略を練っているのだと思っていましたが・・・。そもそも前田建設工業が前田道路の株式を25%弱持っているんですし、TOB価格も結構高いですから、ハードルは高いとは思いましたが。うーん、このような結果になるのであれば、あんな過激な意見表明をしないほうがよかったですね。

今回、前田建設工業はTOBを延長、撤回したとしても、特別配当議案が否決されたらそのままTOBをしてしまえばいいだけなのでは?また、特別配当議案が可決されても、特別配当実施後、下落した株価や配当後の財務をベースとしたTOB価格を再設定してTOBを再度実施すればいいだけでは?現時点では前田道路がかなり厳しい状況に置かれているのではないかと思われます。

私は今回、株式市場からの見え方、良し悪しは別として、パックマン戦略を主軸にして戦えば前田道路には勝機があったように思うのです。パックマンを実際にやるかどうかは別です。あくまで「主軸にして戦う」ということです。すでに前田道路に約25%もの株式を保有されている状況でホワイトナイトになってもらうのはハードルが高すぎたのでしょう。発射台が違いすぎます。

前田建設工業の株式をパックマン戦略で25%以上買うには、前田建設工業の買収防衛策というハードルがありましたが、これ、けっこう簡単にクリアできると思います。ま、裁判になる可能性は高いと思いますけど。

No.751 前田道路はパックマンで勝てる!~前田建設工業の買収防衛策の攻略方法~

ホワイトナイト戦略に過度に頼りすぎましたね。

 

 

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