2020年02月23日

ほら、やっぱり買収防衛策を導入しておいた方がよかったじゃん

焦土化作戦と言われている前田道路の特別配当ですが、報道によると前田道路はホワイトナイトを探していたようです。

前田道路が捨て身の焦土作戦、535億円の特別配当実施へ(日経ビジネス)

前田道路、資産削減の奇策 配当6倍で前田建設TOB対抗(日本経済新聞)

日経ビジネスから一部抜粋します。

そもそも前田道路は、前田建設のTOBに対抗するため、当初はホワイトナイト(白馬の騎士)を探すはずだった。実際に多くの外資系の投資ファンドに声をかけ、MBO(経営陣が参加する買収)の可能性を模索した。だが話は難航した。

 前田建設が既に24%強の株を保有しているため、前田建設がMBOに反対した場合、MBOを成立させて上場廃止に持ち込むには残り76%弱の株式のうち66%、つまり前田建設以外のほとんどの株主からTOBで株を買い集めなければいけない。しかも5割のプレミアム(上乗せ価格)をつけた前田建設のTOB価格を上回る値段で、だ。多くの投資ファンドが「前田建設の出方も不透明だし、そろばんもあわない」と脱落する中、それでも2つのファンドがMBO前提のスキームで前田建設を上回る価格を提示する直前まで来ていた。

 ではなぜホワイトナイトではなく特別配当という焦土作戦を選んだのか。会社関係者は「MBOをすると、1000億円単位の借金を抱えることになるため、今枝良三社長がどうしても踏み切れなかった。今まで無借金だったから相当抵抗があったのだろう」と振り返る。

これ、前田道路が買収防衛策を導入していたらどうなったでしょうか?「経営者が保身のために使ったに違いない!」という主張はさておき、たぶん前田道路は25%弱の株式を持つ前田道路に敵対的TOBを仕掛けられたら、単独では守り切れないと判断し、当然、ホワイトナイト探しをしたでしょう。買収防衛策によって時間と情報を確保した上でホワイトナイト探しができたのです。

今回、前田道路の株主は「前田道路経営陣はホワイトナイトを必死に探しているはず」と考えたでしょうし、前田建設がTOBを仕掛けた後に前田道路の株を買った投資家も、当然ホワイトナイトの登場を期待していたでしょう。時間があればホワイトナイトを見つけられたかもしれません。

どうでしょう?今回の前田道路に対する敵対的TOB、前田道路に買収防衛策があったらもっと異なる展開になっていたと思いませんか?前田道路に足りなかったのは時間です。また、一方でホワイトナイトにも時間が足りなかったのです。時間と情報を確保できる買収防衛策があれば、もっと高いTOB価格をホワイトナイトが提示できたかもしれません。

株主にとってこそ買収防衛策と呼ばれている、時間と情報を確保するための事前警告型買収防衛策が必要なんです。

 

 

 

 

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