2020年03月02日

前田建設 TOBの高い代償と陰の主役たち

日経電子版に前田建設 TOBの高い代償と陰の主役たちという記事がありました。非常に興味深い内容です。

前田建設はどう対応するか。

考えられる選択肢は、(1)現在の条件でTOBを継続する(2)買い付け期間などTOBの条件を変更する(3)いったん撤回した後、新たなTOBを実施する(4)TOBを完全撤回する――の4つがある。

市場では現状、(1)か(2)、つまりTOBの継続を予想する声が多い。前田建設側はTOBの目的を「総合インフラ企業を目指すため」と説明している。今後、官民連携のインフラ事業の拡大は「間違いない」としており、TOBの撤回はこの戦略の後退につながる。

たぶんですけど、前田建設工業はとりあえず臨時株主総会の結果を踏まえて行動するのでしょうね。前田建設工業は前田道路株を24.68%所有しています。前田建設工業が特別配当議案に反対するとして、あと25.42%の反対があれば否決できます。では前田道路の株主構成は?

前田道路の外部から見た安定株主比率ですが、法人株主29.4%-前田建設工業23.67%=5.73%、前田道路社員持株会2.07%、共栄火災海上1.74%の合計9.54%です。前田建設工業が反対すれば、特別配当に関する株主総会普通決議は否決される可能性が高いと考えますしかし、可決できる可能性がないかと言えばそうでもないです。以下に答えが書いてあります。

No.774 では前田道路のプロの票読みをしてみましょう!

ただ、そうはいっても可決させるのは至難の業のような気がします。前田建設工業の所有割合も高いですし、外国人株主比率も高いです。今回のTOBは全株買収ではなく、前田建設工業の所有割合を24.68%から51%にすることが目的ですから、全体の26.32%しか買いません。たくさん応募が来たら案分されます。であれば特別配当をもらったほうがよいと考える株主もいるかもしれません。また、「特別配当議案が可決されたとしても、どうせ前田建設工業は再度TOBを仕掛けてくるだろう。だったら特別配当議案に賛成し、再度仕掛けてくる前田建設工業のTOBに応募すればよい」と考える株主もいるかもしれません。

さて前田建設工業はどうでるでしょうか?さすがに負けるわけにはいかんでしょうし、負けないような戦略をちゃんと考えていることと思いますが。仮に特別配当が可決されたとしても、TOB価格を再設定してTOBを仕掛けなおせばよいだけですからねえ。。。

いずれにせよ、敵対的TOBが日本で本格的に起きる時代になったということです。突然有事になってこのような対抗策を取ることがないよう、平時から事前警告型買収防衛策をちゃんと導入・継続すべきだろうと考えます。

ちなみに、前田建設工業は事前警告型買収防衛策をちゃんと導入しています。

 

 

 

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