2020年04月21日

利益至上主義を見直す契機

今日の日経に以下の記事が掲載されています。

日本電産・永守氏、新型コロナ「利益至上」見直す契機 コロナと世界(9)

――経営者がコロナ終息後を見据えて備えるべきことは。

「利益を追求するだけでなく、自然と共存する考え方に変えるべきだ。地球温暖化がウイルス感染に影響を及ぼすとの説もある。自然に逆らう経営はいけない。今回は戒めになったはずだ」

「50年、自分の手法がすべて正しいと思って経営してきた。だが今回、それは間違っていた。テレワークも信用してなかった。収益が一時的に落ちても、社員が幸せを感じる働きやすい会社にする。そのために50くらい変えるべき項目を考えた。反省する時間をもらっていると思い、日本の経営者も自身の手法を考えてほしい」

永守さんだけではなく、このように考えている日本の経営者は多いのではないでしょうか?では今回のコロナショックを契機に、利益至上主義が見直されるでしょうか?

見直されるかもしれないけど、それを強欲な一部の株主が許してくれるかどうか、です。

永守さん率いる日本電産は株価も高く、時価総額も大きい会社です。このような会社は、アクティビストが株を買ってくることもなければ、過激な要求をされることもないでしょう。まあ、かつては、ですけどね。ソフトバンクGがエリオットに狙われたり、ソニーがサードポイントに狙われたりしている以上、日本電産だって狙われる可能性があります。

もっと株価が安くて時価総額が小さい会社は、利益至上主義を見直したくても、許してもらえないのです。いくらがんばっていても、それが株価に反映されない会社はあります。

そんなときに必要なのが、時間と情報を確保できる事前警告型買収防衛策ではないでしょうか?ものすごくがんばっているのにそれが株価に反映されず、突然、プレミアムはついているけどBPSに満たない価格でTOBを仕掛けられてしまったら、株主も安値で応じざるを得ない状況もあり得ます。

そんな状況にしないようにするのが日本の事前警告型買収防衛です。最近、米国では買収防衛策を導入する企業が増えているという話を先日伺いました。おそらくポイズンピルの導入だと思われます。米国は日本と違い、取締役会決議でポイズンピルを導入するのが普通だから、これだけ株価が安くなっているから経営者が危機感を感じて導入し始めたのでしょう。

利益至上主義を見直すとともに、日本の買収防衛策のあり方についても再度見直したほうがよいと考えます。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからニュースを探す

月別アーカイブ