2020年05月18日

株主は大戸屋とコロワイドのどっちを支持すべきか~こう考えるとわかりやすい~

コロワイドから取締役選任の株主提案をされている大戸屋ですが、株主はどっちを支持すればよいでしょうか?「コロワイドのセントラルキッチンを活用すれば、大戸屋のコストダウンが可能!コロワイドを支持すべきだ!」というご意見もあれば、「大戸屋の手作りのよさが失われる!大戸屋を支持すべきだ!」というご意見もあります。

こう考えてみましょう。以下の記事に記載されているとおり「プロキシーファイト(委任状争奪戦)となり、大戸屋の勝利に終わった場合でも諦めない。再び臨時株主総会を請求し、経営陣刷新を求め、敵対的TOBを始める」という前提です。https://biz-journal.jp/2020/05/post_155762.html

①コロワイドの株主提案を支持し、コロワイドが勝利した場合

コロワイドの取締役候補者は12名で、内訳はコロワイドの役員2名、大戸屋の役員2名、社外取締役8名とコロワイドは主張していますが、大戸屋は「コロワイドは社外取締役8名と言っているが、三森智仁氏は大戸屋の役員を務めていたから社外取締役ではない。社外取締役候補者は7名」と主張しています。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7616/tdnet/1816321/00.pdf

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00928/b8ec2214/d106/494c/aada/0dcc03bdafa2/140120200416495225.pdf

社外取締役が7名いるからコロワイドの好きないように経営できないだろう、と考える人は少ないでしょう。社外取締役といってもコロワイドが選任した候補者ですから、コロワイドを支持するのは誰が見ても明らかでしょう。もし株主提案が可決されたら、実質的にコロワイドの支配下になることは間違いないでしょう。

ではコロワイドが大戸屋を実質支配したのち、TOBやTOBと第三者割当増資により子会社化するとなった場合、どうなるでしょうか?コロワイドの取締役会を支配していますから、TOBが実施されたら、大戸屋の取締役会は「コロワイドのTOBに賛同」を表明するでしょう。

ということは、敵対的TOBではなく友好的なTOBになります。第三者割当増資も組み合わせるのだとしたら、それにも賛同するでしょう。第三者割当増資を組み合わせるのだとしたら、TOBで一般株主から集める株数は少なくなるリスクもありますね。

そして友好的なTOBですから、ホワイトナイトも現れないでしょうね。この場合、仮に大戸屋にとってホワイトナイトが現れたとしても、ホワイトナイトにはなりません。コロワイドのTOBが友好的TOBであって、ホワイトナイトによるTOBは敵対的TOBになります。コロワイドに支配された大戸屋の取締役会はホワイトナイトのTOBに反対表明をするでしょうから。ということはホワイトナイトではなく敵対的買収者になります。

現時点でコロワイドの株主提案を株主が支持し、大戸屋が実質的にコロワイドに支配された場合、TOBの条件もコロワイドにとって有利な内容になるリスクがありますし、第三者割当増資を組み合わせた場合、勝ってもらえる株数が少なくなるリスクもあるでしょう。

そしてホワイトナイトが現れる可能性も低くなります。まあ、おそらく現れないでしょう。

②大戸屋の現経営陣を支持し、コロワイドの株主提案が否決され、大戸屋が勝利した場合

株主提案に大戸屋が勝利した場合、とりあえずコロワイドに取締役会を支配されることは避けられますが、報道によると「株主提案で負けても敵対的TOBを実施する」と言っていますから、大戸屋の経営陣はまったく安心できません。

そしてコロワイドが大戸屋にTOBを実施してきたら、それは敵対的TOBになります。敵対的TOBですから、友好的なTOBに比べてTOB価格などは一般的に考えると高くなります。なぜなら大戸屋が賛同しているTOBではなく、たくさんの株主から株を集めなくてはならず、必然的に株主にとって魅力的な条件を提示しないと集めにくくなりますから。

コロワイドはすでに大戸屋株を約19%保有していますから、TOBをかければそこそこ株を集められるでしょうし、大戸屋に対する影響力は増すでしょう。大戸屋は個人株主が多いので、市場株価にある程度のプレミアムを付ければ応募する株主も多いと思いますよ。

「大戸屋のフェアバリューに比べて安すぎる」と主張しても、相手は機関投資家ではありませんから、大戸屋株のバリュエーションをしていないでしょう。敵対的であってもTOBをしかければ、そこそこ集まるはずです。

大戸屋がホワイトナイトを探している可能性もあるでしょう。株主提案が否決され、コロワイドが敵対的TOBをしかけてきたら、ホワイトナイトが登場する可能性もありますね。

総合的に考えると、大戸屋の株主は「今」コロワイドの株主提案を支持することは得策ではありませんね。「株主提案には賛成しない。コロワイドを支持するかどうかは、ちゃんと大戸屋に対するTOB条件を提示してからだ!」ということです。

 

 

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