2020年07月02日

日経ビジネスの興味深い記事

日経ビジネスに以下の記事が掲載されています。

コロワイド「賛成15%は僅差」と主張する意味

おっしゃるとおりです。当社HPでも以下のとおり書いていますが、コロワイドの株主提案は僅差で負けたのです。

大戸屋の株主総会の議案賛成率が公表されました

現状の方法で計算してみると、賛成個数8,214個÷(賛成個数8,214個+反対個数30,348個+棄権40個+コロワイド13,879個)=15.65%となります。上表とちょっとずれてますね。これ、賛成個数にコロワイド分を入れたら、(8,214個+コロワイド13,879個)÷(賛成個数8,214個+反対個数30,348個+棄権40個+コロワイド13,879個)=42.1%になります。

なんか、全然違いますね。本当にコロワイドが意思表示をしなかったんですかね?なんのために?

コロワイド分を入れて計算すると、賛成は約42%です。この数字の意味するところは大きいですね。ちなみに今総会の議決権行使率ですが、コロワイドも含めて計算すると72%程度です。大戸屋の普段の行使率は60%もないくらいです。ただ、コロワイドを除いて計算すると、66%くらいです。

No.855 大戸屋の総会結果から今後のコロワイドの敵対的TOBの可能性を分析!

臨時報告書で開示された株主提案に対する賛成率は15.50%ですが、これは報道されているとおり、コロワイドが株主総会場で議案に拍手をしなかった=賛成の意思表示をしなかったということで、コロワイドの議決権が賛成にカウントされていません。コロワイド分を入れたら、株主提案の賛成率は42%ほどあります。まあまあ高いですよ。

日経ビジネスによるとコロワイドの野尻社長は自社の株主総会での質問に対して「僅差で否決されたと認識しております」と答えたそうです。これは私もそう思います。42%の賛成率を取ったのですから、僅差です。

しかも、コロワイドが19%の株式を持っているとは言え、株主提案というのは会社側が有利です。株主の属性について会社が把握していますし、なにより大戸屋の場合、60%もの個人株主がいます。白紙で投票してくれる株主がたくさんいるのです。こういう状況を考えると、コロワイドは善戦したと言えます。

あと8%の賛成があれば、コロワイドは勝てます。コロワイドはあと8%をどう集めるのでしょうか?もちろん、議決権行使率が上昇することもありますから、単純にあと8%では済まないかもしれません。

おそらくコロワイドは敵対的TOBに踏み切るのではないでしょうか?個人株主は経済合理性で動く株主とそうではない株主がいます。今回、コロワイドの株主提案に反対した個人株主は「なにがあっても大戸屋ファンじゃ!」「セントラルキッチン反対!」という変わった株主もいれば、「コロワイドは大戸屋を子会社にしたいんでしょ?だったらTOB価格を示しなさいよ!」という合理的な株主もいるでしょう。

個人株主は、株価が下がったら株を買い、株価が上がったら株を売るという行動をとる株主です。コロワイドが高い価格のTOBを提示したら、基本的には応募すると考えておくべきなのです。

そもそも、株主というのは合理的に行動するもんだ、と考えて防衛戦略を練る必要があります。感情で動く株主は「おまけ」として考え、防衛戦略の核にしてはいけません。価格の高いTOBを提示されたら応募するという前提で戦略を考える必要があります。おまけの株主頼みの防衛戦略などとっても、必ず負けます。

日経ビジネスの記事にもありますが、コロワイドが取り得る戦略はいくつでもあります。大戸屋はコロワイドが繰り広げるであろう戦略を緻密に想定し、1つ1つ戦い方を準備しておく必要があります。1つでも負けたら、大戸屋はコロワイドに支配されるのですから全勝しなくてはなりません。そうです、全勝する必要があるのです。

全勝できるでしょうか?

 

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