2020年07月29日

大戸屋の賢い個人株主は声を上げたらどうですか?

見事コロワイドの株主提案の真意を見抜き、株主提案を否決させた大戸屋の個人株主は非常に賢いと思います。一見、コロワイドの株主提案は大戸屋の個人株主にとってメリットがあると思われがちですが、実際にはコロワイドが実質的に支配するにもかかわらず、子会社化の条件を明示していませんでした。

コロワイドの狙いを見抜き、見事コロワイドから3,081円のTOB価格を引き出した大戸屋の個人株主は、次はこうやったらどうでしょうか?

コロワイドの大戸屋に対する敵対的TOBですが、一見、3,081円という高い価格に惑わされがちです。ただ、コロワイドは大戸屋株を全株買う訳ではありません。ではコロワイドのTOB条件を見てみましょう。

TOB価格:3,081円

買付予定数の上限:2,330,000株

買付予定数の下限:1,872,392株

コロワイドは「大戸屋株主の皆さん!私たちは皆さんが保有する大戸屋株を1株当たり3,081円で買います!ただし、応募株数が1,872,392株に満たない場合はTOB不成立です。また、応募株数が2,330,000株を超える場合は按分です」という条件を提示しています。では、その他の状況を見てみましょう。

コロワイドの保有株数:1,387,900株

大戸屋の安定株主の保有株数:930,100株 ※2019/3期末の所有者別状況の「その他の法人:481,100株」と上位大株主に登場する三菱UFJ信託銀行120,000株、りそな銀行100,000株、東京海上日動100,000株、大戸屋従業員持株会79,000株、第一生命50,000株の合計

大戸屋の発行済株式総数7,246,800株ー自己株1,200株=7,245,600株です。7,245,600株ーコロワイド1,387,900株ー安定株主930,100株=4,927,600株の応募がある可能性があります。

ただ、ここには表に出てこない安定株主も含まれているでしょうから、まあ、ざっくり4,000,000株の応募があるとしましょう。となると、あん分比率は、買付予定数の上限2,330,000株÷4,000,000株=0.5825となります。

さて、個人株主の皆さん!皆さんは何株保有していらっしゃいますか?2019/3期末の所有者別状況を見ると、個人その他は、株主数24,998名、所有株式数6,145,400株となっています。ということは、1人当たりの平均所有株数は246株ということになります。

まあ、そんなにきれいに皆さんが200株ずつ持っているとは思えませんし、1単元のみ保有していると言う方も多いと思われます。100株しか持っていない株主は今回、TOBで勝ってもらえる可能性は相当低いと思われます。

個人株主の皆さんは「コロワイドは大戸屋が欲しいのであれば、上限を撤廃すべきだ!全株買収にしろ!」と声を上げたらどうですか?そうしないと、大戸屋が反対意見表明で言っているように、以下のようなことになってしまうリスクもあります。

https://ib-consulting.jp/newspaper/2621/

個人株主の力は、1人1人だと弱いですが、団結すると強くなります。コロワイドのTOBは敵対的TOBです。TOB価格は高くなって当たり前です。しかし3,081円という価格が本当に高いのか?全株買収ではなく、買い取ってもらえない個人株主がいたり、全株買ってもらえたりする訳ではないのに、本当にこの価格でよいのか?コロワイドの買収後、コロワイドの経営リスクを個人株主が負うことになるのに3,081円でよいのか?

日本の個人株主のレベルが試されているケースと言えます。

 

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