2020年07月29日

弱者の兵法とは?

昨日の日経ビジネスにコロワイドvs大戸屋に関する以下の記事がありました。おもしろいので取り上げます。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00121/072800014/?n_cid=nbpnb_mled_pre

伊藤忠・デサントと似通った今回の構図。やはり「資本の論理」に軍配は上がるのか。だがよくよく考えると、TOBを仕掛ける側も相手の「理念」を尊重しない、と言っているわけではなく、こうした分類が適切かどうかはわからない。コロワイドも今回、「大戸屋の店内調理をなくすわけではない」と表明している。ただ攻められた側としては「理念」vs「資本の論理」という展開に持ち込むのが「弱者のとれる精いっぱいの兵法」(証券会社幹部)という面もあるのだろう。

「弱者のとれる精いっぱいの兵法」って言った証券会社幹部って誰ですか?大戸屋がとっている戦法は決して弱者の兵法ではありません。大戸屋の言っていることは、ある意味、正論です。例えばこれ。

本公開買付けは、形式的には市場株価に一定のプレミアムを付した公開買付価格を設定しているものの、買付予定数の上限(2,330,000株。所有割合:約32.16%) が定められた部分買付けであり、コロワイドによる当社の経営への関与により、当社の企業価値ないし株主共同の利益が毀損されるリスクを株主の皆様に負わせる強圧的なものであること

今回のコロワイドの敵対的TOBは全株買収ではありません。大戸屋が主張するとおり、部分買収であり大戸屋株主は全株買い取ってもらえる訳ではありません。コロワイドが大戸屋を支配し、うまく経営できず株価が下がってしまったら?

TOB価格は3,081円です。例えばコロナ前に1株2,400円で200株買っていたとしましょう。TOBに応募することで100株は買い取ってもらえます。ですので3,081円ー2,400円×100株=68,100円儲かりました。でもコロワイドが大戸屋を支配したのち、セントラルキッチンを導入するも、大戸屋の言う通り味が落ちてしまい、客離れを起こしたとしましょう。大戸屋の業績がドンドン悪くなります。株価も下がっていきます。

株価がとうとう1,500円になってしまいました。1,500円ー2,400円×100株=▲90,000円の含み損を抱えてしまいました・・・。トータルでは68,100円ー90,000円=▲21,900円です。

大戸屋が言っていることはこういうことです。けっして弱者の兵法ではなく、正論なのです。コロワイドの経営がうまくいかなかったら、その負担を背負うのは株主なんですよ!と言っているのです。

大戸屋の株主はコロワイドに「部分的買収をやめろ!」「正々堂々と全株買収しろ!」と主張してみてもよいのでは?

そもそも大戸屋がそういう主張をしたらどうでしょうか?ホワイトナイトが出てこない以上、負ける可能性が非常に高いのですから、「全株買収じゃない限りは反対!全株買収なら賛成表明をする!」と。

そうすればみんなが救われると思います。

 

 

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