2020年10月26日

なぜDCM・島忠はニトリが強硬手段に打って出ないと考えたのか?

日経に以下の記事が掲載されています。

M&A未経験のニトリ、「お値段以上」島忠に熱視線

実はDCM・島忠連合は「ニトリの影はうすうす、感付いていた」(DCM関係者)が、友好的なTOBに横やりを入れるような強硬手段には打って出てこないと踏んでいた。それはニトリのメインバンク、みずほ銀行と主幹事証券の大和証券という日本を代表する金融機関の存在だった。

ニトリがこのまま島忠に対してTOBに踏み切ると島忠経営陣への敵対的買収になってしまう。この2社がニトリのアドバイザーとして就くことは「世間体からしても難しい。もし、そうなれば著名企業とそれを支える著名金融機関による初めての敵対的買収になる。もし敵対的買収をするならレピュテーションリスクを顧みない外資系金融機関か独立系の専門会社がアドバイザーだろう」(同)。

ここでも誤算が生じる。希望的観測はすぐに打ち砕かれた。DCM・島忠連合に「ニトリのアドバイザーとして、大和が就き、みずほも資金面で協力する用意があるようだ」と21日夕刻には伝わったからだ。ただDCM・島忠連合はまだ一縷(いちる)の望みに期待を寄せる。それは大和、みずほがニトリに対して「敵対的とならないようにクギを刺し、その条件が満たされないと動かない」といったものだ。果たしてどうなるか。

みずほ銀行はわかりませんが、大和証券はニューフレアテクノロジーに敵対的TOB提案を仕掛けたHOYA、前田道路に敵対的TOBを仕掛けた前田建設工業のFAに就任しています。しかも大和証券の社長は日経のインタビューに以下のとおり回答しています。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53845900W9A221C1EE9000/

事前合意がなかったり、提案された側の経営陣が「敵対的TOB」とみなしたりする場合、証券会社はTOB代理人を引き受けるのが難しいとされる。中田氏は「会社は経営陣だけのものでない。買収が結果的に双方のステークホルダー(利害関係者)にとって望ましいと判断できるのであれば、外形的に『敵対的TOB』とみなされる案件も引き受けることはある」と踏み込んだ。

大和証券は敵対的TOBであっても、買収者・対象者のステークホルダーにとって望ましいと判断できるのなら引き受けることはあると言っています。しかも実際に2件も引き受けています。どうしてこのような読み違いをしたのでしょうか?また、外資や独立系の専門会社なら「アドバイザーについても問題ない」と考えたのでしょうか?どうして?

敵対的TOBを成功させるカギは、アドバイザーの良し悪しはもちろんありますが、結局はTOB価格です。高い価格でTOBを仕掛けられたら、それが敵対的であっても成功する可能性は高いです。究極的にはアドバイザーはあまり関係ありません。

このままDCM・島忠がニトリ対策を考えずに突っ走ってしまうと、ニトリが登場し高い価格を提示したら成功してしまう可能性があります。ただ以下の策を使えば戦えます。一方ニトリは以下の策に対する対抗策を考えず「高いTOB価格だから成功する!」と考えて突っ走ると、これまた失敗します。

No.936 DCMがニトリに勝つ方法

敵対的TOBはTOB価格がもっとも大切であることは間違いないのですが、敵対的TOBにおいては想定していないことが起きます。ありとあらゆる事態を想定し、対抗策を練っておく。そういうアドバイザーが必要だと思います。

 

 

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