2021年08月19日

東レ日覺社長「欧米とは価値観が違う。ガバナンスの形式論に振り回されるな」

以下、日経ビジネスの記事です。東レの日覺社長のご意見はいつもおもしろいです。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00121/00139/?n_cid=nbpnb_mled_enew

今は現場を知らない経営者が多いが、ガバナンスについても同じだ。実態を見ず、形式にこだわっていては何の意味もない。日本がガバナンスコードの策定で手本にしている米国や欧州とは、物事の考え方や社会の背景がまるで違う。

アクティビストや訴訟が多い米国では、彼らに対抗するために今のやり方が生まれてきた。株価という金融価値を上げることが目的で、ROE(自己資本利益率)が低ければ会社や事業を潰しても構わないという欧米と、株価よりも社会貢献や従業員が大切で、利益が出ないからといってやすやすと会社を畳むことなどできないという日本。価値観や課題が違うにもかかわらず、ガバナンスの仕組みを同じにするというのはあまりにも無理がある。

私もそう思います。そこで東レの日覺さんにお願いしたいことがあります。ぜひ東レさんもこの機会に買収防衛策を導入していただきたい!会社の存在意義は株価を上げるためだけではないし、会社はモノではなく、ましてや株主だけのモノではない。株主や役員、従業員、取引先、金融機関、地域社会、国といったいろいろなステークホルダーの貢献によって成立しているのが「会社」です。

敵対的TOBを仕掛けられた場合、重要になってくるのがTOB価格ではありますが、株主は提示された価格でTOBに応じてしまえば会社との関係はそこで切れます。しかし株主以外のステークホルダーと会社の関係は永続的に続くのです。そういった会社との関係性の濃いステークホルダーの利益も敵対的TOB時には考慮する必要があります。

だからこそ、敵対的TOB時において時間と譲歩を確保するためのルールである買収防衛策、事前警告型ルールが必要なのです。日覺社長、ぜひ買収防衛策の導入をお願いします!!!

 

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