2021年10月13日

安定株主と思われる伊藤忠食品が関スーにきつい一発

関スーの取引先株主と思われる伊藤忠食品が関スーに以下の質問をしたそうです。

「株式会社関西スーパーマーケット」様へのご質問書送付について

これ、かなりきつい質問です。例えば、質問2は以下のとおりです。

2. 仮に第1号議案が臨時株主総会で承認された場合、株主総会の開催に先立って当該議案に反対する旨を貴社に事前に通知し、実際に株主総会において反対票を投じた株主は、株式交換に係る効力発生日の20日前から効力発生日の前日までに貴社に対して保有する株式の買取請求を行う権利があります。この場合、会社法の定めによれば原則として「公正な価格」での買取を請求できるとの理解ですが、公正な価格はオーケー株式会社様が公開買付価格として提案されている2,250 円を下回ることはないという理解でよろしいでしょうか。

きついなあ。とてもじゃないですが、安定株主とは思えない質問ですね(笑) 以前まとめた以下のコラムから少し抜粋します。

No.1156 関スーに対するオーケーの行動が今後の日本企業に与える影響

まず問題だと思うのが、安定株主が有事において安定株主として機能しなくなってしまう恐れです。本来、こういうときのための安定株主なのですが、絶対的な安定株主などはいません。安定株主にも都合がありますから、オーケーとの取引を優先するために関スーを支持しない場合があります。「何のための安定株主だよ」って話ですが、こればっかりはしょうがないです。相手がオーケーではなくアクティビストだったら、関スーを支持してくれるでしょうけど。ただ、今後は相手がアクティビストだからといって即座に支持してもらえるかというと怪しくなってきます。

今回の統合議案が否決されたら、マスコミはけっこう騒ぐと思いますよ。本当の焦点は取引先株主が自社の利益と相手先との関係を考慮して議決権行使(棄権)したのに、マスコミは「取引先株主が自社の株主への説明責任を考えて議決権行使をした」とか「しがらみではなく統合比率とTOB価格を比較検討して議決権行使をした」とか騒ぐでしょう。「安定株主が機能しない時代」とも言うかもしれません。

そういった騒ぎを目にした経営者が「安定株主と言えども安易に議決権行使をしてはいけない時代になった」と誤解するかもしれません。物事の本質を見誤った結果、日本企業の置かれる立場がますます厳しくなるかもしれません。

今回の関スーの経営統合議案の行く末はわからなくなってきましたね。そして日本企業の置かれている状況も日々厳しくなってきています。

この件はまたコラムでまとめます。

 

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