2019年04月25日

買収防衛策導入状況 ~導入企業は400社を割り込み、中止企業は300社に迫る

M&A情報サイトのMARR Onlineに掲載されていた記事です。会員しか記事を読めないと思いますが、当該記事は無料会員が読める記事です。

https://www.marr.jp/genre/topics/kaisetsu/entry/15039

少しだけ記事を抜粋します。

レコフM&Aデータベースの防衛策データによると、2019年4月22日現在、買収防衛策(以下、「防衛策」)を導入しているのは377社(図表1)、このうち369社が定時株主総会での承認を得て導入している。377社のうち139社が2019年中に更新時期を迎え、継続・更新時に定時株主総会の承認が必要な企業は134社にのぼる。このレポートでは、18年5月以降、19年4月22日までの防衛策の新規導入・継続・更新・中止の状況や18年6月の定時株主総会での承認結果についてまとめてみた。

 防衛策の導入社数は、2006年末時点の175社から2007年末時点で一気に400社を超え、2008年には569社(上場企業の約24%相当)でピークとなったものの、その後、防衛策を中止する企業の増加により、14年末には500社を、18年末には400社を割り込み、19年4月22日現在の導入社数は377社(上場企業の約10%相当)となっている。

防衛策を中止した企業は、2011年末時点で100社を超え、その後も毎年10-20件ペースで増加し、2016年末時点で216社、2018年末時点で287社となった。2019年4月22日現在は、296社と300社に迫る勢いだ。

私は、去年もしくは一昨年よりも前に買収防衛策を廃止した会社の気持ちはわからんでもない、と思っています。買収防衛策に関する正確な情報提供をしているアドバイザーがいないのだから、買収防衛策を廃止してしまうのもムリはありません。でも、最近買収防衛策を廃止している会社には、はっきり言って「ちゃんと日経新聞読んでますか?」と聞きたくなります。これだけ村上ファンドを始めとしたアクティビスト・ファンドの行動が活発化しているのに?伊藤忠がデサントに敵対的TOBを仕掛けたのに?なぜ廃止するのですか?「うちはターゲットにならない」と考えているのですか?その理由や根拠をぜひ教えていただきたい。

買収防衛策はこれから必要になる施策です。そもそも買収防衛策導入企業に対する買収提案など、ほとんどありません。事例がほとんどないのだから、買収防衛策の功罪はまだあまりわかっていないのです。安定株主比率が低下した日本企業に対する敵対的買収はこれから始まります。買収防衛策が必要な時代に入ります。

先日のコラムNo.572 私がフリージア・マクロスなら日邦産業をこう攻めるでフリージア・マクロスのターゲットになり買収防衛策を再導入した日邦産業についてまとめました。やはり買収防衛策を廃止した会社が「有事」に再導入するのはハードルがあるし、理屈にムリが生じます。

買収防衛策を導入していない会社、廃止した会社、廃止するかどうか悩んでいる会社。皆さん、買収防衛策を導入、再導入、継続すべきなのです。そんなの当たり前の話です。経験したことのない敵対的買収に対応するためには、どの会社であれ時間と情報を確保することは必要なのですから。

 

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