2019年07月24日

ユニゾHDはどういう意見表明をしてくるでしょうか?

単に「このTOBは我々に一切の事前連絡、相談のない状態で一方的に行われたものです!エイチ・アイ・エスは不動産賃貸事業のことなど経験がなく、何も知らず、我々の会社を経営することなどできません!株主の皆さん、応募しないでください!」って言ったら負けですよ。

敵対的TOBに対する意見を表明するときに何が一番重要でしょうか?TOB価格が安いから今この価格で応募したら損だ!ということです。なお、ユニゾHDに対する今回のTOBは上限が付されており、エイチ・アイ・エスがすべて買っても保有割合は約45%です。だから、「株主の皆さんは手持ちの株を全部買い取ってもらえません。当社の上場は維持されます。エイチ・アイ・エスが45%握って当社を経営に関与したら当社の業績は悪化し、株価も下落していきます。3,100円で売ったら今は儲かるかもしれないけど、中長期的に見たら手残り株の価格が下落するから、トータルでは損ですよ!」という趣旨の反論をすると思いますが、それだけで株主が応募しないとも思えませんね。

でも、敵対的TOBには、空疎な意見表明だけで勝利することはムリだと思われます。TOB価格が安いと主張しても、目先高い価格を提示されたら、株主は応募するでしょ?下限さえ付けなければ、TOBは成立してしまいます。もう敵対的TOBを仕掛けられたら、そこで「はい、終了~」です。そこそこ高い価格を提示してくるでしょうから。安定株主以外の株主は応募するでしょう。

敵対的TOBを仕掛けられる可能性は、上場している以上、どんな会社にも等しくあります。その可能性がある以上、明日、貴社が敵対的TOBを仕掛けられる可能性があります。「狙われないよう株価を高く維持すればいいだろ?」 それは乱暴です。まず、株価を高く維持することは企業防衛の基本中の基本ですが、それだけでは守れません。そもそも、株価を常に高くし続けることなど、現実的には不可能です。株価が下落した隙を突いてくるのが買収者です。

株価が下落し、本質的な会社の価値と株価が乖離したときに備えて何が必要なのか?をちゃんと平時から議論し、やるべきことをやっておく必要があるのです。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからニュースを探す

月別アーカイブ