エイチ・アイ・エスが対質問回答報告書を提出~この程度の回答なのは予想通りですね~
エイチ・アイ・エスに敵対的TOBを仕掛けられたユニゾHDですが、7月23日(火)に留保の意見表明を公表し、質問権を行使しました。その回答期限が本日だったのですが、エイチ・アイ・エスが対質問回答報告書を提出しました。
https://www.his.co.jp/wp-content/uploads/n_co_20190730-1-1.pdf
回答をざっと見ましたが、例えばですけど、
(質問)
③ 公開買付者の不動産投資時の投資基準(保有方針、想定している立地を含みます)及び目標想定利回りの水準並びに利回りの実績の水準につき、国内・海外それぞれについて、根拠とあわせて具体的にご説明ください。
(回答)
不動産投資物件毎に、立地・利回り等の条件を総合的に勘案し個別に判断した上で投資を行っております。
全然具体的じゃなーい!!!
(質問)
① 過去 5 年間の賃貸ビルの保有状況、賃料推移、空室率、収支状況につきご説明ください。
(回答)
2014年10月期末2物件、2015年10月期末2物件、2016年10月期末2物件、2017年10月期4物件、2018年10月期末7物件を保有しており、2019年10月期(進行期)に1物件を取得し、現時点では8物件を保 有しております。賃料推移、空室率、収支状況については開示を行っておりませんので、回答を控えさせて いただきます。
賃料推移、空室率、収支状況については開示してないから回答しないよって言われちゃったーーー!!!
そして極め付きは・・・
(質問)
② 公開買付届出書によれば、公開買付者は、8物件(投資額約112億円)の賃貸用不動産を保有しておら れるとのことですが、以下の事項をご説明ください。
(a) 各物件の概要(所在地、規模・構造、取得日、オフィスビル・マンション等の種別を含む)
(b) 各物件の収支
(c) 現在の各物件の空室状況、全体の空室率
(d) プロパティマネジメント業務に関する外部委託の有無、外部委託先の選定基準、リース方針・リース方法
(e) ビルメンテナンス業務に関する外部委託の有無、外部委託先の選定基準
(回答)
(a) 開示を行っておりませんので回答を控えさせていただきます。
(b) 開示を行っておりませんので回答を控えさせていただきます。
(c) 開示を行っておりませんので回答を控えさせていただきます。
(d) 外部委託を行っておりますが、詳細に関しては開示を行っておりませんので回答を控えさせていただきます。
(e) 外部委託はございますが、詳細については開示を行っておりませんので回答を控えさせていただきます。
(a)~(e)開示を行っておりませんので回答を控えさせていただきます、でもよかったように思います。もしくは、以下同文。
皆さんおわかりのとおり、法律で認められている質問権を行使して得られるのはこの程度の回答なのです。株主はこの程度の情報しか得られなくても「エイチ・アイ・エスはけしからん!」とは考えません。株主が考えるのは、公開買付価格が高いかどうかだけですから。株主は株を買収者に売却したら、会社との関係は切れます。買収後に会社がどうなろうと知ったことではないのです。だからこの程度の回答でも文句を言いません。ていうか、株主は対質問回答報告書を読みません!絶対に!
敵対的TOBを仕掛けられたとき、本当に買収者がどういう経営をしようとしているのかを知りたいステークホルダーって誰なんでしょうか?従業員や取引先ではないですか?そのようなステークホルダーにとって法律で認められた質問権は機能しないのです。
だから買収防衛策と呼ばれてしまっている事前警告型ルールが必要なんです。
会社は誰のものか?株主だけのものではないし、そもそもモノではありません。会社の利益を構成する従業員や取引先のために時間と情報が必要なのです。