2020年01月22日

東芝機械 飯村会長のインタビュー記事

今日の日経15面で東芝機械の飯村会長のインタビュー記事が掲載されています。

おっしゃっていることはよくわかります。機密保持契約を締結しろだの超大幅株主還元をしろだの、東芝機械さんだってニューフレアテクノロジー株で得た売却資金の使途をちゃんと検討していたことだろうと思います。

ただ、本当に取締役会決議での買収防衛策発動に突っ走ってもよいのかどうか私は疑問です。発動したいお気持ちはよくわかりますし、勝てるかもしれません。私も経験ありますが、ただ、今回はブルドックソースのケースとは異なり、金員交付はできないし総会の特別決議も取れません。加えて、買収防衛策っぽい対応方針は導入時の株主総会決議も取っておらず取締役会決議での有事における導入です。

東芝機械さんにとって不利な材料が多すぎるんです。仮に裁判で勝ったとしても、後に痛手を被る可能性があります。それは「東芝機械は買収防衛策を発動した会社だ!」「東芝機械は資本市場に対して後ろ向きだ!」って評価されてしまい、まともな投資家が東芝機械株から離れて行ってしまうリスクがあります。

仮に負けたらどうなりますか?もっと恐ろしいことになります。だいぶ工夫はしていらっしゃるようなので、勝てる要素もあるとは思うのですが、裁判所がどう判断しますかね?スティール・パートナーズは東京高裁では濫用的買収者と認定されましたが、地裁と最高裁は認定していませんので。ヨロズの買収防衛策廃止の株主提案にかかる裁判ではどうでしたっけ?東芝機械さんの対応方針P2でも触れているようですが、株主提案の適法性を争うのと対抗措置発動の差止めではハードルがかなり違うように思います。

現時点で平時の状態の会社の皆さん、買収防衛策の発動は非常にハードルが高いのです。「買収者が寄ってきたら最後は発動しよう」と考えている方、いらっしゃいませんか?買収防衛策における対抗措置は「伝家の宝刀」です。基本的には抜かずに戦わなくてはなりません。

 

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