2020年01月28日

東芝機械 今後の流れを整理

日経ヴェリタス2020.1.26号に「旧村上ファンド系との攻防激化 東芝機械、TOB期間延長なら対抗措置発動問う総会」という記事がありました。その中で「想定される今後の流れ」という内容がありました。

シナリオ1は、株主総会の開催→委任状争奪→ホワイトナイト登場?という内容です。シナリオ2は、取締役会決議のみで対抗策を発動→村上氏側が差し止め仮処分を申し立て→裁判所が対抗策の是非を判断、という内容です。

では私の方でもまとめてみます。まず東芝機械と村上ファンド双方ともに「株主意思確認総会は開催したほうがよい」という考え方かと思います。異なっているのは東芝機械は対抗措置発動に関する決議は「普通決議」としているのに対して、村上ファンドは「特別決議」としている点です。この点で両社が折り合えなかった場合、村上ファンドがルールに従わず、TOB期間を延長せず株主意思確認総会が開催できない場合があります。おそらくこの場合、東芝機械は取締役会決議で対抗措置を発動すると考えられます。流れは以下の通りです。

・対抗措置発動の株主総会決議方法について折り合えず村上ファンドがTOB期間を延長しない。

・東芝機械が取締役会決議で対抗措置を発動

・村上ファンドが新株予約権の発行差止請求

・裁判所の判断

では、村上ファンドが東芝機械の主張に従い、決議方法を普通決議でOKとした場合は?

・村上ファンドがTOB期間を延長

・株主意思確認総会を開催。普通決議で対抗措置発動が決議

・村上ファンドが新株予約権の発行差止請求

・裁判所の判断

という流れです。ちなみに東芝機械が村上ファンドの主張に従い、決議方法を特別決議でOKとした場合、東芝機械にとって特別決議で対抗措置発動の承認を取るのはかなりハードルが高まりますが、特別決議での承認が取れ対抗措置を発動した場合であっても村上ファンドは発行差止請求をする可能性が高いでしょう。

村上ファンドは決議方法がどちらであっても、対抗措置発動が株主意思確認総会で承認されれば発行差止請求をするでしょう。だから決議方法はどっちでもいいのではないでしょうか?どっちにしろ差止委請求をするのですから(もちろん特別決議の方が対抗措置発動が承認される可能性が低くなるので、村上ファンドは差止請求をする手間がかからなくなるのでいいといえばいいですが)。

今回の対抗措置発動はブルドックソースのケースとはやや異なります。全株主に新株予約権を割り当てるものの、買収者が行使できず、行使(実際には会社による取得)すると新株が交付されるという条件は同じですが、ブルドックソースはスティールパートナーズに割り当てられた新株予約権を現金で買い取りました。東芝機械はすぐにはそれをせず、買収者が所有株式を売却した場合それに応じた新株予約権を行使できるか(20%を下回る範囲)、10年後に残っていた新株予約権を会社が買い取るかという対応です(ざっくりですみません)。買収者の経済的損害という点において発動方法がやや異なるので、この点を裁判所がどう見るかも重要かなと思われます。

 

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