2020年02月20日

前田道路の対抗策について

すでに報道され、前田道路もプレスを公表していますが、大規模特別配当を実施するようです。前田道路のプレスを抜粋しながら解説します。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200220467645.pdf

前田建設工業によるTOBに係る決済の開始日前の日を基準日と定め、2020年4月14日(予定)に臨時株主総会を開催し、臨時株主総会に基準日時点の株主(基準日がTOBの決済の開始日前のため、TOBに応募した当社の株主も含まれる)に対し、1株当たり650円の剰余金の配当(総額約 535 億円)を行う旨の議案を付議することを決定しました。基準日は3月6日(金)だそうです。

この特別配当は、1月20日に前田道路が「前田建設工業株式会 社が保有する当社株式の取得及び資本関係解消提案に関するお知らせ」で公表した20,460,000 株(当時の株価ベースで 500 億円超相当)の前田建設工業からの自己株取得方針に代わる株主還元策だそうです。

そしてこの特別配当は前田建設工業のTOB条件の撤回事由に該当しますので、前田建設工業はTOBを撤回することが可能となります。しかし前田道路は前田建設工業が撤回するかどうかに関わらず、臨時株主総会に議案を付議するそうです。前田道路は前田建設工業に対して「TOB期間を60営業日に延長すれば、臨時株主総会の結果を踏まえた上でTOBを撤回するかどうかを判断することができますよね」と言っています。

ただし、前田道路は「前田建設工業は当社議決権の25%弱を持っていますから、前田建設工業のTOBに賛同する株主が多ければ特別配当議案が否決されることもあります」とも言っています。

特別配当をする理由ですが「当社が前田建設の連結子会社となった場合の当社少数株主の利益保護、すなわち、前田建設グループの利益のためだけに利用されるとの重大な懸念のある内部留保を本公開買付け成立前の当社の株主の皆様に広く還元することを目的として、本日、当社取締役会は、本特別配当付議決定をしたものです。」としています。ある意味、自爆攻撃ですかね・・・。

また「本公開買付届出書によれば、前田建設 は本公開買付けのための資金として金融機関より 900 億円の借入れを予定しており、 仮に本公開買付けが成立した場合には前田建設の財務体質は現状よりさらに悪化す ることが予想されるため、当社は、前田建設の財務体質の改善のために、当社の企 業価値及び当社少数株主の皆様の利益を毀損する形で当社の内部留保が利用される ことを強く懸念しております。」とあります。なるほど。前田建設工業の狙いは前田道路のキャッシュだから、キャッシュを吐き出してしまえば、前田道路は再度TOBを仕掛けてくることはないだろうと読んでいるのでしょうか?TOB価格を下げて仕掛けてくる可能性もありますよね。けっこう危険な読みのようにも思えます。

これ、株主はどう行動しますかね?前田建設工業のTOBは全株買収ではありませんから、株主は保有株を全部買い取ってもらえません。だったら特別配当をもらうか、と考える株主もいるかもしれませんが・・・。ただTOBが始まってから市場で買った株主は特別配当ではなくTOBを期待しますよねえ・・・。

普通に考えると、株価は昨日に比べて大きく下がっていますから、一般株主はTOBに期待していたということであり、特別配当をされてTOBが撤回されると困るから株価が下がったんですよね?うーん、どうなるんでしょうか?少なくとも、TOB期間中の株価にプラスのインパクトがないと可決されないようにも思うのですが・・・。

 

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