2020年03月04日

もし東芝機械が勝ったとしたら?

「じゃあ平時の事前警告型買収防衛策なんて必要ないね!有事になったら東芝機械と同じことをやればいいんだから!」という訳には行きません。

そもそも東芝機械はこのようなものすごくハードルの高い対抗策を打ってしまって本当によかったのかなあと私は思います。仕組みを完全に理解しているでしょうか?ブルドックソースとの違いをきちんと理解しているでしょうか?

そもそも東芝機械の皆さん、ちゃんと睡眠取ってますか???冷静な判断ができる状態でしょうか?負けた時のことも考えていらっしゃるでしょうか?余計なお世話でスミマセン。ちなみにアドバイザリーフィーはナンボですか?相当数の弁護士が関与していますよね?それ、株主に払った方がよくありませんか?

東芝機械がやっていることはものすごく大変なことです。会長も社長も社員も本業に集中などできません。村上さんたちは、たぶん直接的には「ニューフレアテクノロジーへのTOBで得た資金を株主に還元しろ!」とおっしゃっており、一見、短期的な利益追求のように見えます。ま、そもそも短期的な利益追求は悪いことではありません。株主なんてみんな本当は短期で儲けたいんです。

東芝機械はなぜ村上さんたちのターゲットになってしまったのでしょうか?簡単です。中長期的に株価が割安だったからです。ではなぜ株価が割安だったのでしょうか?これはたぶん所説あるのでしょうけど、株主還元が不十分だったことも要因の一つではないでしょうか?つまりこれまで株主に対して十分な還元をしてこなかったから株価が割安なのです。だから村上さんたちがターゲットにしたんです。ま、東芝という安定株主がいなくなったことも狙われた要因の一つでもあると思いますが。

村上さんたちは「ニューフレアテクノロジーへのTOBで得た資金を還元しろ」と言っているように聞こえますが、実は違います。本当は「これまで株主に還元してこなかったカネをこの際還元しろ!」と言っているだけです。本来カネをかけて株価を高めて村上さんたちに狙われないようにしておかなくてはならなかったのに、カネをかけずに企業防衛体制をないがしろにしてしまったのではないでしょうか?

企業防衛にはカネがかかります。買収防衛策を維持するにも安定株主が必要ですし、安定株主を維持するには持ち合いに資金を投下する必要があります。平時から株主還元にカネをかけ株価を高くしておく必要があります。平時にカネをかけずに有事になってしまった場合、有事にカネをかける必要があります。

企業防衛にはいろいろな意味でカネがかかるんです。それを誤解すると痛い目にあいます。東芝機械が仮に勝ったとしても「有事になったら東芝機械みたいな対応をすればいいんでしょ?」と考えてはダメということです。狙われることで対応策に時間や労力をかけてしまうことが、中長期的な企業価値の毀損につながる可能性があるからです。平時から株主還元などを充実させ株価を高めて置いたり、事前警告型買収防衛策を導入しておいたりすることできちんと防衛体制を強化しておく必要があります。

 

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