2020年07月09日

(無料公開)コロワイドの敵対的TOBは実に巧妙です

コロワイドが正式に大戸屋に対する敵対的TOBを公表しました。主な条件は以下のとおりです。意外なことに、TOBの成立要件に下限を付けています。なかなかコロワイドは巧妙ですねえ。私にはわかりますよ~。

TOB価格3,081円

※前日終値2,113円に対して45.81%のプレミアム、過去6か月平均値2,173円に対して41.79%のプレミアム

買付予定株数:下限1,872,392株(所有割合にして25.84%)、上限2,330,000株(所有割合にして32.16%)

※コロワイドの所有割合に加えると、45%~51.32%。最大で所有割合が51.32%になる可能性があるものの、所有割合にして45%に満たない場合はTOB不成立という条件。

TOB期間:7月10日(金)~8月25日(火)までの30営業日

TOB代理人:SBI証券

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200709459725.pdf

大手証券は代理人にならなかったんですね。

さて、私はコロワイドが敵対邸TOBを仕掛けるとしたら下限を付けないだろうと読んでいましたが、コロワイドは今回付けてきました。理由として「本公開買付けにおける買付予定数の下限を、公開買付者の要請等によって開催される対象者の臨時株主総会において公開買付者の指名する者が対象者の取締役となる場合に、当該事実と併せて、公開買付者が採用する国際会計基準に照らし、公開買付者による対象者への実質的支配が確立しているものとして対象者が連結子会社になり得る水準を目安」に設定したとしています。

まあ、そうなんでしょうけど、私はこの下限の設定はコロワイドの巧妙な作戦と読みます。このTOB条件を見た大戸屋はどう思うでしょうか?たぶん「価格が高いからTOBにはある程度の応募があるだろう。でも株主提案でほとんど賛成がなかったのだから、コロワイドが所有割合を45%にすることなどムリだろう。」と見るでしょうね。

そして大戸屋は「ホワイトナイトは必要ない」と考えるでしょう。それがコロワイドの狙いであると私は読みます。もしコロワイドよりも規模が大きく、財務体質も良好な先がホワイトナイトとして登場したらコロワイドは勝てません。TOBに下限を設定することによって、大戸屋を油断させ、ホワイトナイト探しをさせない作戦でしょう。

そしてコロワイドは時期が来たらTOBの下限を引き下げるか外してくるでしょう。TOBの条件ですが、株主にとって不利な変更はできないものの、有利な変更はできます。TOB価格の引下げや下限の引き上げなどはできませんが、TOB価格の引き上げや下限の引下げ・撤廃はできます。

TOB期間が残り少なくなってきた時期に下限を引下げ・撤廃し、所有割合が40%程度でもTOB成立という条件にすることで、TOBを成功させます。TOB期間も残り少ない状況ではホワイトナイトも出てこれないでしょう。

もしこれがコロワイドの狙いだとしたら、けっこうしたたかですよ。

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