2020年10月07日

ガイアの夜明け~感想その③ そりゃ大戸屋は負ける~

とりあえずガイアの夜明けに対する感想は最後にします。ガイアの夜明けの詳しい分析は明日のコラムでお伝えします。けっこうおさせておくべきポイントが多い番組で、非常に参考になりました。正確に分析して、貴社がターゲットになった場合でも適切に対処できるようにしましょう。

私は昨日のガイアの夜明けのこの部分を見て「そりゃ大戸屋は負けるわな」とあらためて思いました。どこでそう思ったかというと、株主総会で第3号議案が否決されたことを窪田社長が感極まり、声を詰まらせながら株主に報告した場面です。

そして株主総会終了後、記者が窪田社長に対して「率直にどんな気持ちですか?ほっとしました?」と質問したところ、窪田社長が「いえいえ、しっかりと株主様の議決を受けて、しっかりと中経営計画を達成していきたい」とおっしゃいました。そして控室で涙を拭いていました。。。

いやいやいやいや、まだ終わっていませんよ!!!まだ泣くところではありませんよ!!!私は当HPで何度も申し上げましたが、コロワイドの株主提案は株主提案単体で対応すればよいものではなく、その後確実に実施されるであろう敵対的TOBを見据えて対応しないとダメだったのです。

大戸屋は株主提案とTOBがセットであったことを認識していたでしょうか?

大戸屋、今日がTOB最終日~会社は誰のモノか?~

以下はちょっと古いですが、敵対的TOBが実施されることは創業家ともめていた時点で容易に想像できました。

No.119 ひどいというより戦略か?・・・大戸屋HDの総会議案 など2コラム

窪田社長は株主総会で株主提案が否決されたときに、なぜ涙を流したのでしょうか?「オレたちの主張を株主が理解してくれた!コロワイドに勝った!」と思ってしまったのでしょう。非常に残念です。これも何度も申し上げてきましたが、大戸屋が株主提案で勝利できたのは、大戸屋の主張を株主が理解したからではありません。一部のファン株主はそうかもしれませんが、大戸屋の賢い株主は「コロワイドは大戸屋を連結子会社化しようとしているんだろ?だったらTOB価格やその他の条件を株主にまずは提示しろ。TOB条件を明示せずに大戸屋の取締役会を支配しようなんて都合がよすぎる」と冷静に判断したのでしょう。

大戸屋が株主提案に勝利したのは、コロワイドがその時点で大戸屋の子会社の条件を明示せずに、取締役会を支配しようとしたからです。それに対して株主がNoを突き付けたにすぎません。そこを窪田社長がきちんと理解していなかったから、株主提案に勝利した際に涙を流して喜んでしまったのでしょう。突然すぐさま敵対的TOBを仕掛けられる可能性を検討せずに・・・。

冷たいことを申し上げますが、同情の余地はありません。窪田社長は負け戦にもかかわらず、従業員に反対声明を出させました(正確には出すことを許可した、だけかもしれませんが同じです)。従業員を戦の矢面に立たせました。経営者失格です。これからコロワイドの支配下になり、この反対声明において顔を出してしまった従業員の将来はどうなるのでしょうか?まさか冷遇されることはないとは思いたいですが、そういったリスクも考えて「従業員による反対声明はまかりならん」と却下するのが窪田社長の仕事だったのではないでしょうか?

泣きたいのは従業員だと思いますよ。

 

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