2020年11月16日

DCMからニトリにくら替えの島忠、「裏切り」は誰のためか

日経ビジネスに以下の記事が掲載されています。

DCMからニトリにくら替えの島忠、「裏切り」は誰のためか

私と考えが共通する部分もあるので、少し抜粋させていただきます。

トンビに油揚げをさらわれた格好になったDCM陣営の心情的な怒りは誰しも理解できるだろう。ニトリとの合意をもって島忠はDCMによるTOB(株式公開買い付け)への応募推奨を取り下げたため、16日が最終日のDCMによるTOBは一転して「友好的TOB」から事実上「敵対的TOB」になってしまった。

日経ビジネスさんも気づいたようですね。当社のHPでも以下のとおりお伝えしていますが、DCMの友好的TOBは一転、敵対的TOBになってしまったのです。そしてTOB期間が12月1日まで延長されましたので、12月1日までDCMは「敵対的買収者」の汚名を着せられることになりました。

2020年11月13日 DCMはこのままだと・・・

ニトリはホームセンターではないため島忠からすると異業種。DCMは同業だ。一般的に異業種による買収の場合、その業界に対する知見が少ないため、業績不振でない限りはひとまず被買収企業の経営陣を続投させることが多い。一方、同業による買収の場合は知見が既に買収側にあるため、現経営陣の身分は保証されないと言っていいだろう。

これについては先ほどあるマスコミの方に「島忠がニトリに乗り換えた理由」を質問されたのですが、私は【「記者会見などを見ていると、島忠の経営陣はニコニコして似鳥さんと握手していますから、本音では「ばっちり同業のDCMより、ホームセンターという意味ではバッティングしないニトリのほうがこれからやりやすいのでは?」というスケベ心もあるように思います。】と答えました。こういったことは私の専門ではないのですが、日経ビジネスさんもこうおっしゃっているので、島忠がニトリを選んだ理由の一つとしてあり得るのかもしれません。

これまで日本では敵対的買収になる可能性が高い「横やり」はタブー視されてきたが、今回の一件でそうした見方は間違いなく薄れるだろう。

はい、これは間違いありません。今年だけで何件の敵対的TOBが起きたでしょうか?年内また起きる可能性だってあります。もう敵対的TOBはタブー視されない世の中になったと思った方がよいです。

こうした事態をある程度防ぐ方法がないわけではない。それは売り手が事前にあらゆる買収者の可能性を探っておくことだ。今回のケースに当てはめると、島忠はDCMと握る前に、ほかに買収希望者がいないか、もっと調査すべきだった。仮にニトリがそうした意向を持っていると事前に把握して条件提示も受けていたとしたら、最初からニトリと握れていたかもしれない。

これについては一瞬「???」でした。というのも、「こうした事態をある程度防ぐ方法」と聞いて、上場会社が「そんな方法があるのか?」と色めきだったかもしれません。ただ読んでみると、島忠側の話だったのですね。おそらく「DCMの方じゃないの?」ではないか、と。買収する側が横やりを防ぐための方法を今模索していると思われます。

ちなみにそんな方法はあります。以下です。

No.940 DCMと島忠はこんな方法もあったのでは?

No.937 DCMと島忠はニトリ対策を考えているか?

今後のM&Aは知恵と工夫が必要です。

 

 

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ニトリが島忠に対して敵対的TOBを仕掛ける可能性について報道されていますが、以下によると「月内にも島忠への株式公開買い付け(TOB)に踏み切る方向」だそうです。

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