2022年03月24日

旧村上ファンドのターゲットになった大豊建設のホワイトナイトは麻生&自己株TOB

以下、旧村上ファンドに40.18%の株式を所有されている大豊建設が株式会社麻生に対する第三者割当増資の実施と自己株TOBの実施を公表しました。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120220324510012.pdf

ここに至った経緯を見ると、

・村上さんたちの主張は、上場するメリットがなくMBOをしたほうがよいこと、上場を維持するなら純資産額を741億円から300~400億円程度に圧縮してROEを向上させるべきであること、などです。しかし大豊建設は上場していた方がメリットがあるし、財務の健全性・安定性の観点からそのような純資産の圧縮はできないと判断し、見解に相違が生じていたようです。

そしてその後、大豊建設は麻生との業務資本提携を検討するに至ったようですが、その手法については公開買付けを含めた連結子会社化の方法を検討したようです。ただ、旧村上ファンドは麻生による公開買付けには応じられないが、大豊建設が自己株TOB及び第三者割当増資を行う場合には、自己株TOBに応じるし、増資の実施も尊重するとしたそうです。

税金ですね。プレスには以下の記載があります。

一般論として、法人の発行済株式を一定割合を超えて保有する内国法人が、自己株式の取得により当該発行会社たる法人から金銭の交付を受ける場合には、みなし配当の益金不算入の割合において、その保有割合に応じ一定の税効果の適用を受けることができます(法人税法(昭和40年法律第34号。その後の改正を含みます。以下「法人税法」といいます。)第24条、第23条参照)。この点、上記の当社とシティインデックスイレブンスらとの間の協議の間、上記 税効果の適用が議論の俎上にあがったことはありませんでした。

そして旧村上ファンドは「当社普通株式の1株あたりの適正価格は4,800円以上、また、自己株式取得の株数については800万株以上が適正である」と考えていたそうです。

大豊建設は自己株TOBの価格について、2022年1月31日の終値3,655円を水準とすることを提示したものの、旧村上ファンドが考える適正価格4,500円(当初や4,800円だったそうですが、ここでは適正価格を4,500円とおっしゃったようです)以上よりも相当低いと回答したようです。

プレスが長すぎるのでかなり省略しますが、自己株TOBの価格は4,730円となりました。ちなみに本日の終値は3,595円です。そして旧村上ファンドの平均取得価格はおよそ3,379円です。なんだかな~・・・。

ちなみに第三者割当の価格は4,750円です。

そして各社のアドバイザーですが、

大豊建設:FA岡三証券、LA敬和綜合法律事務所

麻生:FA SMBC日興証券、LA非公表(だと思います。なにせプレスが長いので読み切れていません)

岡三証券ってFAやるんですね。初めて聞いたような気がします。

公開買付期間は2022年5月26日から6月22日(予定)です。公開買付代理人は岡三証券です。

正直言って、こんなことをしていいの?という感想です。これでまた旧村上ファンドに多額のキャッシュが入ってきますし、また新たに狙われる先が出てきます。こういう状況になった以上はしょうがないとは思いますが、それにしてももっと早くにやればよかったのに・・・。こうならないようにちゃんと平時から株主構成のことを考えたり、必要な対策を打ったり、そして買収防衛策を導入しておいたりすべきなのです。

 

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