2022年08月17日

無料公開ボツコラム~ジャフコが狙われた理由~

以下、今週どこかでコラムにする予定だったのですが、ジャフコが有事型で対抗することを公表したのでボツにします。せっかくなのでご覧いただけたら幸いです。当初有料にしていましたが、もう有料にする意味もないので無料公開します。

■旧村上ファンドはどうしてジャフコグループをターゲットにしたのか?

答えは・・・

野村総合研究所(野村総研)の株ですね。ジャフコの有価証券報告書を見てもわからなかったのですが、野村総研の上位株主を見たらいました。23,968千株(4.05%)保有しています。野村総研の株価は4,170円なので、23,968千株×4,170円=約999億円です。

皆さんご存知のとおり、ジャフコは日本最大のベンチャーキャピタルで、もともとは日本合同ファイナンスという社名でした。2006年3月期の有価証券報告書を見ると、野村HD20.47%、野村総研10.25%保有していました。そして野村HDと野村総研はジャフコ株を売却しました。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDC27H27_X20C17A7EE9000/

ジャフコの2022年3月末の株主構成は以下のとおりです。

自己株式を9,628,015株保有しているので、議決権(712,631個)ベースで所有主体別状況を計算しなおすと、金融機関28.90%、金融商品取引業者4.94%、その他の法人6.34%、外国法人48.42%、個人11.39%です。

法人株主の比率が6.34%ですが、ほとんどは上位に登場している光通信ですから、この会社に安定株主はいないと言ってよいです。

そしてジャフコの大量保有報告書を提出している投資家ですが、私、光通信だけかと思っていたら、オアシスも提出していました。自分でニュースをまとめておきながら、忘れていました。主な投資家は以下のとおりです(特例報告を利用している投資家は除く。つまり一般的な機関投資家は除いています)。

https://ib-consulting.jp/newspaper/3273/

旧村上ファンド                 6.54%

光通信                               4.20%

オアシス                            5.26%

そのほか、マラソンアセットなども8.34%保有しています。マラソンアセットはアクティビストではありませんが、LIXILがもめた際には経営サイドではなく瀬戸さんサイドについた株主です。

で、ジャフコの財務体質ですが、現預金52,603百万円、投資有価証券97,251百万円、有利子負債183百万円です。なお、ジャフコに対しては以下のとおり、マネックスも投資して物を言っており、結果、ジャフコが株主還元方針を変更したそうです。わざわざジャフコの社長コメントまで掲載するなんて・・・。こんな公表、しないほうがいいですよ。自殺行為です。

https://info.monex.co.jp/feature/activistfund/news/2021/20210224.html

野村総研株を売却して得た資金(税引き後)350億円を自己株取得に費やすと公表しました。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8595/tdnet/1931101/00.pdf

まだジャフコは野村総研株を2022年3月末時点で1,000億円くらい持っているわけですから、当然旧村上ファンドも「全株売却して得た資金を株主還元にまわせ」と言うでしょう。そして単に市場で売却するのではなく「野村総研に交渉して自己株TOBをやらせろ」と言うかもしれません。単純に市場売却などするよりも、野村総研に自己株TOBで買い取ってもらった方が税金がオトクです。

「マネックスが交渉して株主還元を強化させたのであれば、オレたちが交渉すればもっと引き出すことができる」と見なされたかもしれませんね。余計な公表をしたもんです。

 

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