2022年11月23日

公正な買収の在り方に関する研究会に対してお伝えしたいこと

経済産業省さんが「公正な買収の在り方に関する研究会」を立ち上げ、平時型・有事型買収防衛策や昨今の敵対的TOBについて見解を取りまとめてくださることに対して、非常に感謝しております。

1点申し上げたいことがあります。それは「いろいろな敵対的TOB事例や平時型・有事型買収防衛策の議論がなされており、マーケットが変化している一方で、上場会社も変化している」ということです。

数々の敵対的TOB事例、機関投資家の買収防衛策に対するスタンスなどを見て、上場会社も変化しているのです。平時型買収防衛策の導入が流行った2006年~2009年当時は「みんな入れてるからうちも入れよう」「●●株式会社に買われるリスクがあるぞ!絶対に買収されたくないから買収防衛策とやらを入れよう!」と考えて導入した会社もあったでしょう。

でも今は違います。これだけ平時型買収防衛策に対する評判が悪化し、機関投資家が反対し否決リスクが高まる中、それでも平時型買収防衛策を導入し続ける上場会社には信念があるんです。それは「我々が導入している平時型買収防衛策は買収防衛策じゃない。保身目的に導入していないし、そんなことをするために導入しているんじゃない。すべてのステークホルダーが買収提案を検討するための時間と情報を確保することが目的なんだ」ということです。私はこの点、機関投資家が誤解していると思っています。もしくは、わかってはいるけどいまさら買収防衛策に賛成などできない、とかたくなになっていると思っています。

日本の上場会社が導入している平時型買収防衛策は買収防衛策などではありません。時間と情報を確保することが目的なのです。一方の有事型買収防衛策はまさに買収防衛策を発動して、買収提案の実現を阻害することが目的の買収防衛策です。にもかかわらず、平時にきちんと導入目的や仕組みを詳細に開示し、予見可能性も備えた平時型がどうしてこんなに貶められなくてはならないのでしょうか?

ぜひ経済産業省さんの「公正な買収の在り方に関する研究会」におかれましては、機関投資家と上場会社のかけ橋になっていただきたい。委員の皆さんを見ると、やはり弁護士や学者、証券会社などの方が多いですが、まあ、当然と言えば当然です。専門家ですから。でも弁護士や証券会社といったLAやFAは「黒子」です。資本市場における主役は機関投資家と上場会社です。機関投資家がなぜ平時型買収防衛策に頑として反対するのか、どうして上場会社は平時型買収防衛策を導入し続けるのか?

両者のみぞをぜひ埋めていただき、日本の株式市場が評価されるようになってほしいです。

 

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