2019年02月08日

敵対的TOBは日本に根づくのか

答えは「根づくにきまってる」です。

日本の株式市場は米国の株式市場の後追いです。20~30年前、米国市場ではアクティビストの行動が活発化し、ポイズンピルという買収防衛策をリプトン弁護士が発案しました(正確な歴史的経緯かどうか自信はありませんが)。

日本でも2000年に入って、村上ファンドやスティール・パートナーズといったアクティビストが登場し、日本企業に対して敵対的TOBを実施したり、株主提案を実施したりしました。そして、長嶋大野常松法律事務所の藤縄先生が事前警告型買収防衛策を発案されました。

※非常によく考えられたルールであり、私は全上場企業が導入すればよいと思っていますが、いろいろな人たち(投資家だけではなく、藤縄先生以外の弁護士やアドバイザー、導入している会社も含めて)が事前警告型ルールの趣旨や理念を曲解し、買収防衛策を廃止しています。

日本で敵対的TOBは成功しています。佐々木ベジ氏がソレキアに対して2017年2月に実施し、比較的安定株主比率の高いソレキアを見事攻め落としました。

今回の伊藤忠のデサントに対する敵対的TOBは批判されません。理由は来週のコラムで申し上げますが、日本の経営者や海外の経営者、ファンドが「日本企業に敵対的TOBを実施しても批判されるし成功しないと思っていたが、そうでもないのだな」と考えれば、敵対的TOBはM&Aの一つの手法として根づいていくでしょう。

ますます事前警告型ルールが必要な時代になっています。しかし株主は事前警告型ルールを導入することを認めてくれません。

廃止した会社を含めて、日本企業が導入できる新たな買収防衛策を導入する必要性が出てきたと思います。いずれ新たな買収防衛策の姿をコラムでお見せします。

 

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