上場を準備している会社のみなさん!
買収防衛策、ちゃんと検討していますか?「これから上場するのに買収防衛策?買収されるのがイヤなら上場なんてするなよ」とおっしゃる方がいますが、逆ですよ。上場するから買収防衛策が必要になるんです。だって未上場会社なら敵対的買収リスクなんてゼロなんですから、買収防衛策は必要ありません。
でも上場したら、敵対的に買収されるリスクはあります。これからの世の中、本当に「上場したとたんに敵対的買収を仕掛けられました!」なんていう話が出てくるかもしれません。以下をご覧ください。
https://ib-consulting.jp/newspaper/4466/
エクサウィザーズ(コード4259)という会社です。ヤマウチNo.10ファミリーオフィスに投資されています。エクサウィザーズは以下のプレスを出しています。
https://exawizards.com/archives/20642/
2022年9月9日に、任天堂創業家一族の山内家を背景に持つファンドであるYamauchi-No.10 Family Officeが、当社株式を一部取得した旨を発表しています。当社としては、特定の株主に関してコメントする立場にありませんが、当社経営層はIR活動を通じて国内外の様々な投資家と常に対話を行っています。中長期的な当社の企業価値の向上を実現するため、多様な知見や視点は歓迎したいと考えています。
スマートなプレスですね。なおエクサウィザーズが上場したのは2021年12月です。YFOがエクサウィザーズに投資していると発表したのが2022年9月なので、上場した翌年にアクティビストが登場したことになります。なお、大量保有報告書を提出したわけではありませんし、何株保有しているのかは不明です。
上場するということはこういうことです。いつアクティビストが登場するかわからないし、上場した翌日に敵対的買収を仕掛けられるかもしれない。そして上場したばかりの会社は上場会社としての経験値も低いです。長く上場している会社であってもアクティビスト対応や敵対的買収対応なんてしたこともなく、どんな会社も対応に手こずります。上場したばかりならなおさらでしょう。
上場したばかりの会社は、有事に備えてやはり時間と情報を確保するためのルールである買収防衛策=買収への対応方針を導入しておく必要があるのです。たぶん上場を準備している会社に対して「買収防衛策もちゃんと検討しておきましょう」という人はいないと思います。なぜなら、上場することのリスクをあまり指摘すると「やっぱり上場やーめた」になると困るからです。
でも、これってすごく大切なことなんですよ。これからの時代、ホントに上場した直後にアクティビストに買われることだってあるし、敵対的買収をくらうこともあります。「そういうリスクを覚悟のうえで上場しますか?」ということを経営者に真剣に考えてもらう必要があるんです。そういうリスクが「やっぱりイヤだなあ」と考える経営者は上場しないほうがよいのです。
なお、テクニカルなことを言うと、上場前に買収防衛策を導入するのは、できなくはないのですが、ちょっとしんどいことがあります。ただ、当然ですが、買収防衛策の導入を議論したり、検討したりするのは自由です。上場前にきちんと検討しておき、上場後、適切なタイミングで導入するのが私はよいと考えます。