あれ?芦森工業がTOBの下限を引き下げ
豊田合成が完全子会社化を目的にTOBをかけいてる芦森工業ですが、村上世彰氏の息子さんである村上貴輝さんが大量保有報告書を提出しています。MI2です。TOB条件に目を付け横やりを入れる目的で買い始めたのでしょうが、大量保有報告書を提出したのが2025年8月21日です。
直近の変更報告書は9月8日に提出されており、保有割合19.73%、保有株数1,195,000株、取得資金4,976,717千円となっています。1株当たり4,165円で取得していることになります。
TOB条件ですが、TOB価格は4,140円でTOBは8月12日から開始されており、今回条件が変更されその期限は10月30日までとなりました。MI2が提出している直近の変更報告書の「保有目的」を見ると、以下のことが書かれています。まあようは「TOB価格は土地の含み益が加味されていない!」と言いたいのでしょう。TOB価格を引き上げさせたいのか、居座ってなんとかしようとしたいのか、そういった目的のために芦森工業の株を市場で買ったのでしょう。
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発行者は、保有する大阪府摂津市千里丘7丁目106番8の土地10,184㎡を、2019年9月30日に単価26万円/㎡で第三者に譲渡し、2021年6月30日に34.2万円/㎡(公示地価相当額)で買い戻した。 当該地の簿価は平均5.2万円/㎡と推察され(有価証券報告書上の簿価・保有土地面積より)、上述の再取得単価と大きく乖離することから、発行者が従前から保有する上記土地の隣接地を含む61,436㎡の土地については、相応の含み益があると考えられる。 令和7年8月12日付で豊田合成株式会社(以下「公開買付者」という。)が公表した発行者株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)に係る公開買付届出書によると、本公開買付けにおいて発行者が設置した特別委員会は、公開買付者と、発行者における株価純資産倍率(PBR)等を踏まえて、公開買付価格の交渉を5回行ったということであるが、上記土地の含み益を考慮した議論を行ったり、第三者算定機関へ上記土地の評価依頼を行ったりしたという記述は存在しない。 特別委員会は、含み益を含めた時価の純資産に対するPBRを踏まえて、公開買付者との公開買付価格の交渉を行うべきであったが、これが行われないまま、発行者は本公開買付けについて、令和7年8月12日付意見表明報告書において応募推奨の意見を表明した。 かかる発行者による本公開買付けへの対応を踏まえ、企業価値の向上に関する事項について、経営陣への助言、重要提案行為等を行うことがある。 |
しかし本日、豊田合成が公表したTOB条件の変更で、どうやらMI2の目論見が打ち砕かれたような感じです。以下です。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120251015573618.pdf
TOB成立要件の下限「2,308,100 株(所有割合:38.29%)」が「1,800,100 株(所有割合:29.86%)」に引き下げられたのです。
当初設定された下限「2,308,100 株(所有割合:38.29%)」の理由は以下です。ざっくり言うと「TOB後に開催する臨時株主総会で、特別決議が必要なスクイーズアウトにかかる議案を通すためにトータル2/3の株を集める必要がある。すでに豊田合成が28.29%持っているので、あと38.29%あればとれるから」ってことです。
| 潜在株式勘案後株式総数(6,027,638 株)に係る議決権数(60,276 個)に3分 2 の2を乗じ、1未満に係る数を切り上げた数(40,184 個)に対象者の単元株式数(100 株)を 乗じた数(4,018,400 株)から、公開買付者が本日現在所有する対象者株式の数(1,703,500 株) に係る議決権数(17,035 個)及び譲渡制限付株式報酬として対象者の取締役及び執行役員に付 与された対象者の譲渡制限付株式(以下「本譲渡制限付株式」といいます。)のうち対象者取締役が保有している株式数(合計:7,172 株、所有割合:0.12%)に係る議決権数(68 個)の合 計(17,103 個)に対象者の単元株式数を乗じた数(1,710,300 株)を控除した株式数(2,308,100 株)(注3)として設定しております |
それが今回の条件変更でどう変わったかというと以下です。ざっくり言うと「前回までの下限は総議決権の2/3を取るために設定した。芦森工業の株主総会での議決権行使率を勘案すると、何も総議決権の2/3を取る必要はないので下限を引き下げた」ってことです。
| 対象者の過去3事業年度における定時株主総 会の議決権行使比率の最大値が 73.91%(2023 年)であり、公開買付者及び 2025 年9月 30 日 時点で対象者株式を 1,137,000 株(所有割合 18.86%)所有する村上貴輝氏、株式会社 MI2、株 式会社 MI5 及び株式会社 MI1(以下、これらを総称して「大量保有者グループ」といいます。) が本臨時株主総会においてその保有する対象者株式に係る全議決権を行使すると仮定し、潜在 株式勘案後株式総数に係る議決権数から公開買付者及び大量保有者グループが保有する議決権 数を控除したその他一般株主の保有議決権数に対して、対象者の過去3事業年度における定時 株主総会の議決権行使比率の最大値である 73.91%を乗じた議決権数に、公開買付者及び大量 保有者グループが保有する議決権数を合算した議決権数に対して、株主総会の特別決議の可決 に要する議決権比率3分の2を乗じた数の議決権数が、本臨時株主総会において株式併合に係 る議案が可決されるために必要な水準であると合理的に考えられ、かかる議決権数から公開買 付者が保有する議決権数及び対象者取締役が保有する譲渡制限付株式に係る議決権数を控除し た議決権数に対象者の単元株式数である 100 を乗じた数を本公開買付けの買付予定数の下限と すれば、本臨時株主総会において本株式併合に係る議案が可決されない事態が生じる可能性を 合理的に防ぎつつ、本公開買付けの成立の確実性を高めることが可能であると考えるに至りま した。 |
ざっくりわかりやすく書きますね。
・芦森工業の最近3期間の株主総会の議決権行使率は最大で73.91%
・豊田合成が保有する株数は1,703,500株・議決権17,035個
・MI2らが保有する株数は1,137,000株・議決権11,370個
・豊田合成とMI2らは議決権をすべて行使する
・総議決権60,276 個から豊田合成17,035個とMI2ら11,370個を除いた議決権31,871個(一般株主の議決権)に行使率73.91%をかけた数=23,556個
・臨時株主総会で行使されるのは豊田合成17,035個とMI2の11,370個、これに議決権行使率を勘案した23,556個の合計51,961個だから、この議決権の2/3を取ればよい。
こんな感じです。これ、細かい計算すると合わないのですが、ちょっとご容赦ください。ざっくりこういう風に理解すればよいと思います。
なお、豊田合成はプレスで以下のように言っています。
| なお、当初公開買付期間の最終日である 2025 年9月 24 日の午後3時 30 分時点の本公開買付 けに応募された株式数である 2,111,226 株(所有割合:35.03%)は、新たな買付予定数の下限 である 1,800,100 株(所有割合:29.86%)を上回っております。 |
こういったアクティビストの行動や対象となった会社がどう行動するかを見る上でやはり重要になってくるのが安定株主比率や株主構成の見方なんですね。
