2019年05月10日

ヨロズさん!いい反論ですけど自分で買収防衛策って言っちゃダメ!

本日の日経15面にあった記事です。村上ファンドグループの㈱レノが投資先のヨロズに対して買収防衛策廃止の株主提案をしたそうです。防衛策廃止をレノが株主提案 ヨロズに

しかし、記事によるとヨロズは「株主提案は適法性について疑義があるため、株主総会では取り上げない」としているそうです。ヨロズが昨日公表したプレスリリース株主からのレター受領に関するお知らせにおいても「当社としては、当該株主提案の適法性について疑義があると考えておりますので、株主総会で取り上げることは予定しておりません。」としています。何がどう疑義があるのかは今のところよくわかりません。

ヨロズが公表したプレスリリースには興味深いことがいろいろと書いてあります。

当社の買収防衛策は、大規模買付者に対して事前に大規模買付行為に関する必要な情報の提 供及び考慮・交渉のための期間の確保を求めることによって、当該大規模買付行為に応じるべ 2 きか否かを株主の皆様が適切に判断されること、当社取締役会が当該大規模買付行為に対する 賛否の意見又は代替案を株主の皆様に対して提示すること、あるいは、株主の皆様のために大 規模買付者と交渉を行うこと等を可能とし、もって当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益 を確保・向上することを目的とするものであり、当社の経営陣・取締役会の保身を目的とする ものではございません。

そうなんです。日本の会社が導入している買収防衛策は情報と時間を確保することが目的であり、経営者の保身には使えない仕組みです。でも、おしい!自分で「買収防衛策」って言っちゃダメですよ。おしいなあ。これは買収防衛策のプレスリリースではないのですから、「当社株式等の大規模買付行為に関する対応方針(以下「買収防衛策」といいます。)」と書くのではなく、「当社株式等の大規模買付行為に関する対応方針(以下「本方針」といいます。)」とすればよかったと思います。

他、以下のようなことも書いてあり、ヨロズさんはけっこう攻めてますねえ~。いいですねえ~。

提案株主は、本書簡において、当社代表取締役会長志藤昭彦及び当社代表取締役社長志藤健との面談を申し入れたにもかかわらず、当社代表取締役ではなく、当社総務部の担当者が面談に応じたことに関して、コーポレートガバナンス・コード基本原則 5(株主との対話)の観点から問題である等と主張しております。 しかしながら、コーポレートガバナンス・コード基本原則 5(株主との対話)は、株主が指定する取締役との面談を実施すべきことを定めるものではなく、上場会社が適切と考える担当者において株主との面談を実施し、その内容を取締役に対して共有し、検討することも同原則における「対話」に当たるものと理解しております。

そりゃそうですよね。ちゃんと説明できる人が投資家対応をすればいいんじゃないですか。「社長を出せ!」いや社長じゃなくてもちゃんと説明できる人が説明しますから。

当該株式の保有時において、提案株主のアドバイザーとされる村上世彰氏は、当社代表取締役会長らとの面談において、或いは、当社役職員との架電において、当社の自動車メーカーに対するグローバルな視点での製品供給の重要性には理解を示すことなく、当社が利益の100%を株主に還元し、又は、数パーセントを超えるような大規模な自社株買いを実施しない場合には、当社株式に対する公開買付けを実施する旨を繰り返し述べ、実際にも、当社に対して、当社の買収防衛策に規定された大規模買付行為の意向表明書のドラフトを提出しておりました。

怖いですねえ~。還元しないとTOBかけるぞ!ってことですか?いや~、怖い!ちなみに「TOBをかけるぞ!」って村上さんにヨロズが言われている状況で、ヨロズが自社株買いってしていいんでしたっけ???インサイダー取引になっちゃいません???

その後、2018年以降、再度当社株式の取得を開始し、2019 年4月4日及び同月5日付けで、 野村絢氏及び野村幸弘氏と連名で当社株式についての大量保有報告書を提出するとともに、本書簡及び面談等の機会において、徹底的な企業価値及び株主価値の向上施策の実施を要求し、その一環として、上記のとおり買収防衛策の廃止その他の施策の実行を再三にわたり主張しておりますが、上記のような従前の経緯及び他社事例に照らし、提案株主が、真摯に当社の中長期的な企業価値の向上を検討しているかについては非常に疑わしいものと言わざるを得ないと考えております。

いやあ、攻めますねえ。「従前の経緯」に加えて「及び他社事例に照らし」ってとこもなかなか攻めますねえ。

私、こういう会社さん、好きです。

 

 

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