2019年06月07日

アルファレオ、乾汽船の保有目的を変更、保有割合ちょっとだけ上昇

乾汽船の株式を大量に買っているアルファレオという投資家が、乾汽船の保有目的を変更しました。なお、保有割合は25.06%から25.28%に上昇しました。

乾汽船株式会社(以下「当社」)の取締役は注意義務・忠実義務を尽くしていないこと、及び敵対的買収防衛策の導入は取締役の自己保身であると認められることから2019年6月21日の当社定時株主総会で取締役の再任案及び買収防衛策導入案に反対する。

(1)脆弱な経営体制:2014年の経営統合前は常勤取締役を創業家以外からも登用していたが、統合後は継続して兄弟である乾康之・乾隆志のみが常勤取締役である。このような体制の継続はガバナンスの観点から見て問題である。

(2)不公平な取締役報酬制度:2018年3月期有価証券報告書によれば、取締役報酬は2名で8,200万円であり総人件費の約17%を占めている。これは同業他社と比較しても2倍以上の水準である。同報告書の給料手当から単純計算すれば従業員1名当たりの平均給与は約200万円である。また、取締役報酬算定の重要な要素に営業CFの前年対比が採用されている。他方で株主還元である配当は最終利益を基準としている。当社は船舶及び不動産の減価償却費が多額であるため、2019年3月期の営業CF2,960百万円に対し、当期純利益639百万円となっている。従業員給与及び株主還元よりも偏頗的に取締役に有利な報酬体系である。

(3)重要な財務情報の不開示:2019年3月期期初業績予想では、大幅な増益増配を予想していたが、バラスト水処理装置の計上方法を資産から費用としたために第2四半期の予想と実績に差異が生じた旨が2018年11月8日に発表された。この会計上の計上方法の変更は同年5月23日の取締役会で決議された。これは業績に多大な影響を与える重要な財務会計の変更であるにも関わらず、6か月もの間開示されなかった。

(4)合理的理由のない買収防衛策:提出者は、短期的な利得のみを目的とする売買を行ったことはなく、むしろ当社に対して長期保有を明言し、中長期的な企業価値向上に向けた提案を行ってきた。また、現状、提出者以外に30%の保有比率に達しうる株主は存しない。かような状況下で買収防衛策の再導入の提案は、取締役の自己保身と言わざるを得ない。

尚、代表取締役の解職の提案を含む事前質問書を2019年6月7日に当社役員宛てに交付し株主総会に出席しない株主も確認できるよう、2019年6月14日までに当社ウェブサイト上にて回答を公開することを求めた。

前に変更された内容とあまり変わったいないような・・・最後がちょっと変わったのでしょうか。

なお、敵対的買収防衛策の導入は取締役の自己保身と主張していますが、敵対的買収防衛策を乾汽船が導入したのなら、そりゃ自己保身ですよ。でも乾汽船が導入したのは敵対的買収防衛策なんでしょうか?乾汽船が導入したのは当社株式の大規模買付行為等への対応策であって、買収防衛策ではありません。タイトルに(買収防衛策)とありますが、乾汽船が積極的に記載した訳ではありません。東証が書けというから書いているだけです。

また、「提出者は、短期的な利得のみを目的とする売買を行ったことはなく、むしろ当社に対して長期保有を明言し、中長期的な企業価値向上に向けた提案を行ってきた。また、現状、提出者以外に30%の保有比率に達しうる株主は存しない。かような状況下で買収防衛策の再導入の提案は、取締役の自己保身と言わざるを得ない。」と言っていますが、事前警告型ルールは、短期的だろうが中長期的だろうが、30%(一般的には20%)以上の株式を買おうとする場合において詳細な情報提供と時間の確保を求めているだけです。株式保有が短期なのか中長期なのかは関係ありません。ただし「かような状況下での買収防衛策の再導入」ってのは、確かにマズイですね。導入ならまだしも、再導入dすから。

だから買収防衛策と呼ばれる事前警告型ルールを、株主総会で否決されるかもしれないからといった安易な理由で廃止してはいけないのです。本当に買収者が登場した場合に対抗できなくなりますから。

廃止した会社は、なにも起きていない今のうちに再導入しておくべきです。導入していない会社はすぐに導入すべきでしょう。

 

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