2019年06月28日

確かに歴史に残る株主総会です

今日の日経の社説株主の声に企業は統治の質向上で応えよにいいことが書いてあります。

多くの企業に緊張が走った株主総会シーズンとして、ことしの6月は歴史に刻まれるのではないか。経営側の出した議案が広く株主の反対に直面したのである。統治の質の向上と収益の成長を求める株主の声を、企業はしっかりと受け止めるべきだ。

今年の6月総会は歴史に残るでしょう。ここ10年は語り継がれていかれるものと思います。上場会社はLIXILの株主総会で株主提案が可決されたことを非常に重く受け止めるべきだと私も考えます。これまで日本の上場会社で株主提案を可決させるのは非常にハードルが高いと言われてきました。安定株主の存在に加えて、白票で投じる個人株主が存在するためです。加えて、国内の機関投資家が株主提案に賛成してこなかったからです。

野村ホールディングスの会長、社長選任議案の賛成率もかなり低いです。情報漏洩問題があったせいだと思いますが、それでも過去ならこんなに低い賛成率にはならなかったのではないでしょうか?野村ホールディングスの安定株主比率は低く、外国人株主比率は高いものの、個人株主比率もそこそこ高いのです。これまでなら70%台は維持できていたのではないでしょうか?

でもこれからの時代は違います。もうサイレントな株主など物言わな方存在しないのです。物言わなかったはずの国内機関投資家の議決権行使スタンスが厳しくなっています。個人株主だって声を上げ始めるかもしれません。これまで日本の上場会社は安定株主と物言わぬ国内機関投資家と何もしない個人株主に助けられてきたのです。そんな時代は終わりました。

日経の社説では「統治の質向上で応えよ」とあります。それも重要なことではありますが、買収防衛策と呼ばれてしまっている事前警告型ルールの導入、再導入などもちゃんと検討する必要があります。そのためには投資家に根付いてしまった「買収防衛策は経営者の保身」という誤解を解く必要があります。そしてそのためには、投資家との本当の意味での価値ある議論を深めるべきです。

買収防衛策だけではありません。買収防衛策だけでは、企業価値・株主価値を守ることはできません。株主還元、ROE向上、ガバナンス向上といういろいろな施策を検討し、それをうまく発信していく必要があります。

 

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