2020年01月18日

村上ファンドが東芝機械に敵対的TOB?

今日の日経7面に旧村上ファンド系、東芝機械にTOB通告という記事があります。一瞬何のことかと思いましたが、村上ファンドが東芝機械に対してTOBを実施すると通告したそうです。村上ファンドによる東芝機械の大量保有報告書・変更報告書の提出状況は以下のとおりです。

日経の記事によると村上ファンドは東芝機械株を11.49%保有しているそうですが、現在提出されている変更報告書で確認できる保有割合は9.19%です。買い増したのでしょうね。そろそろ変更報告書が提出されるということでしょうか?

東芝機械は昨日1月17日(金)21:00に以下のプレスをTDNETで公表しています。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200117447931.pdf

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200117447933.pdf

東芝機械はかつて買収防衛策と呼ばれている事前警告型ルールを導入していましたが、2019年5月16日に廃止することを公表しました。なお、廃止を公表した際のプレスは以下のとおりです。

https://www.toshiba-machine.co.jp/documents/jp/ir/library/kohyo/2019/20190516_4.pdf

ちょっと抜粋しますね。

しかしながら、国内外の機関投資家をはじめとする株主の皆様のご意見や、買収防衛策を巡る近時の動向、およびコーポレートガバナンス・コードの浸透など、当社を取り巻く環境の変化を注視し、本プランの継続の必要性について慎重に検討を重ねた結果、2019年6月21日開催の第96回定時株主総会終結時の有効期間満了をもって本プランを継続せず、廃止することを決議いたしました。なお、当社は、本プランの廃止後も、引き続き当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上に向けた取り組みを進めるとともに、当社株式の大量買付行為を行なおうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を 開示し、株主の皆様が検討するために必要な時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。

なるほど。東芝機械は廃止理由を「株主の意見や買収防衛策を巡る近時の動向、ガバナンスコードの浸透・・・」としているのですね。決して「金商法の整備によって時間と情報が確保できるようになったから」を廃止理由にしておらず、有事になったら必要に応じて情報と時間の確保を要求しますからねとしているのですね。

何が言いたいかと言うと、今回東芝機械はあらためて有事になったので村上ファンドに対して買収提案にかかる情報と時間の確保を要求しているのです。

東芝機械が村上ファンドから買収提案を受けた経緯は以下のとおりです。東芝機械のプレスからまとめました。

1月10日  オフィスサポートから書面により東芝機械に対してTOBの実施可能性について通知

1月13日  TOB実施を1月21日に公表し、1月22日から開始する予定である旨連絡

1月16日  TOB実施を1月20日に公表し、1月21日から開始する旨連絡

そして1月17日に東芝機械がこれまでの経緯や村上ファンドのTOBへの対応方針を公表しました。その対応方針というのがまさに買収防衛策の再導入です!ま、東芝機械はプレスP2~3で「本対応方針は、既に具体化している本公開買付けを含む大規模買付行為への対応を主たる目的として導入されるものであり、2019年6月21日付けで廃止された旧プランを始めとする、平時に導入されるいわゆる買収防衛策とは異なる」と主張しています。

なるほど。これ、東証に事前相談していないかもしれませんね。東芝機械の主張は「この対応策は買収防衛策ではない」ですから、プレスのタイトルにも(買収防衛策)がありませんね。時間がなかったのかな?東証に事前相談したら、まあ、3週間かかることもありますし、早急に導入する必要があったから東証に事前相談しなかった可能性がありますね。特に村上ファンドから買収提案がなされている状態ですから、事前相談したら東証が反対するかもしれないし、導入できたとしても時間がかかったかもしれませんしね。

東芝機械さん、ご英断です!東芝機械の経営陣は称賛に値するすばらしい経営判断をしましたね。これまで村上ファンドに買われた会社は買収防衛策も導入せず、グダグダな対応をしてきましたが、その点、東芝機械は毅然とした素晴らしい対応だと思います。ただ、欲を言えば、工夫して買収防衛策を継続しておけばよかったですね。

今回の対応策において、対抗措置を発動(買収防衛策を発動:つまり新株予約権の無償割当です)する場面は①株主総会で承認が得られた場合、②ルールを無視して買付けようとする場合、に限定しています。

ではここで一旦終了して、東芝機械の買収防衛策、ではなく、対応方針を熟読してみます。土日はニュースのアップをしないのですが、今日はけっこうアップする予定です。乞うご期待!

 

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