2020年01月27日

買収防衛に有事型浮上

1月26日(日)の日経7面に買収防衛に有事型 浮上 東芝機械の例、試金石にという記事がありました。非常になつかしいですねえ、信託型ライツプラン。

以下のような仕組みにより買収者の持株比率および株式価値を低下させることを狙いとする買収防衛策。
(1)対象会社は、買収者が一定の議決権割合を取得する(可能性のある)場合に時価以下(例えば1円)で行使できる、または一定の取得条項等が付された新株予約権を、平時にあらかじめ発行して信託銀行に信託しておく。
(2)後に敵対的買収を仕掛けられた場合に、全株主に対して信託銀行から新株予約権を付与し、買収者以外の株主の行使または買収者以外の株主からの取得の対価として新株を発行する。
日本では、事前警告型防衛策の方が主流となっている。

https://www.nomura.co.jp/terms/japan/si/s_rightsplan.html

?今ってこういう説明なんですか。信託型ライツプランも事前警告型の一つですよね?信託型ライツプランのメリットは、平時において事前に信託銀行日して新株予約権をふよしておき、有事になったらそれらを買収者以外の株主に割当て新株を発行するから「現実的に発行差止ができない」という点ではなかったでしょうか?ただし、逆に言うと発行差止請求ができないから、確実に買収者の持分を希薄化させてしまうため、対象会社の取締役が賠償請求をされるリスクがあるという点がデメリットだったような記憶です。まだ導入している会社はあるんでしょうか?昔、西濃運輸さんが導入していたような気が・・・。

平時導入型の買収防衛策は以下のような分類ができます。

 

対抗措置発動の判断主体

         ルールの概要

独立委員会の位置付け

買付ルール設定型 取締役会

・買収提案に関する情報及び検討期間の提供を買収者に求める

・ルールを遵守した場合は原則として対抗措置を発動しない(例外的に発動する場合あり)

諮問機関的位置づけ
独立委員会判断型 独立委員会

・買収提案に関する情報及び検討期間の提供を買収者に求める

・ルールを遵守した場合でも買収提案の内容次第では発動することあり

取締役会に対抗措置発動/不発動を勧告
株主意思確認型

株主総会

株主意思確認総会

・買収提案に関する情報及び検討期間の提供を買収者に求める

・ルールを遵守した場合、株主総会等を開催し、対抗措置発動を株主に意思確認する

諮問機関的位置づけ

なお、有事導入型の買収防衛策は15年くらい前から議論はされていました。ま、実際にブルドックソースが2007年に実施しましたしね。では、これから平時導入の事前警告型買収防衛策を廃止した会社や導入していない会社に買収提案が仕掛けられたとして、東芝機械のような有事導入型の買収防衛策で対抗する企業が増えるでしょうか?

増えません。なぜならもう事前にTOBをするという通告を買収者がしなくなるからです。当たり前ですよね。もう対象会社に対して買収提案を事前にしたとしたら、このような有事導入型の買収防衛策を導入されてしまうのだから、突然TOBを実施するに決まってます。

「でも突然TOBを実施されてからでも東芝機械のように対応する会社も出てくるのでは?」 はい、確かにそうですね。TOBを実施された後でも「株主意思確認総会を開くからTOB期間を延長しろ!さもないと対抗措置を発動するぞ!」っていう対応をする会社も出てくるかもしれません。でもユニゾHDはそういった対応をしませんでしたよね。買収者の属性によりけりのような気もしますね。東芝機械のような対応をできる買収者であればよいですが、相手が事業会社で「濫用的買収者だ!」とは主張しにくい状況だと通用しないかもしれません。

いずれにせよ、平時の事前警告型買収防衛策をちゃんともう一度議論するのが先です。東芝機械の対応はかなりハイレベルですから。

以下、ご参考まで。

No.753 平時には準備をせず有事になったら東芝機械のような対応をすればよいか?

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからニュースを探す

月別アーカイブ